Topics&Columns(2000年4月16日)
ナパ・ワインのテイスティング(updated 4/16/00)
先日カリフォルニア ワイン インスティテュートの後援でナパ・バレー・ヴィントナーズ・アソシエーションによる業者向けのワインテイスティングが催されました。この時期のテイスティングの催しには、ワイナリーのオーナーが来ていたり、ワインメーカーが来ていたりします。皆さんもチャンスがあれば、出かけられれば「こんな人が造っているのか」というのが納得できて良いと思います。
参加ワイナリーは、次の様になっておりました。
Beringer Vineyards, Cain Five, Cakebread Cellars, Clos du Val, Cuvaison Winery, Duckhorn Vineyards, Far Niente, Frog's Leap, Harrison Vineyards, Heitz Cellar, Jeseph Phelps, Markham, Mumm, Niebaum Coppola, Robert Mondavi, Rutherford Hill, Saintsbury, Schramsberg, Swquoia Grove, Shafer, Spring Mountain Vineyard, St. Supery, Stags' Leap Wine Cellars, Starling Vineyards, Trefethen, Viader の26ワイナリーの参加でした。
このテイスティングガイドの表紙を見ると判るのですが、「ツアー2000 テイスティングノート、 シンガポール・香港・台北・大阪・東京」と書かれていて、この催し物が東京以外のアジアでも同じ物が開催されています。アジアでのワイン市場が広がってきていることの裏付けですが、クロ・デュ・ヴァルのベルナルド・ポーテ、ジョン・シェーファーがみずからサーブしていました。また伝説的なウォーレン・ウィニヤスキーまでその場に来ており、会えたことはラッキーでした。
ウォーレン・ウィニヤスキーという人物はかつてシカゴ大学で教鞭を執っていましたが、ワインに魅せられてカリフォルニアでワイン造りを始めたという人物で、1976年のパリ事件で一位をとったカベルネであるスタッグス・リープ・ワイン・セラーズの創設者でもあり、ワインメーカーでもあります。
さて、さすがに著名なワイナリーが集まっていたので、出展されたワインの方は優れたものが多かったといえるでしょう。モンダヴィのカベルネが「極めてバランスが良く飲みやすい」と感じてしまうほどのワインでした。必ずしも強い・太いワインが良いワインであるというわけではありませんが、次のようにレーティングしました。リストはガイドの登場順です。ブドウの表記はCS=カベルネ、ML=メルロー、PN=ピノ・ノワール、CDN=シャルドネ、SB=ソーヴィニョン・ブラン、Z=ジンファンデルです。
*****(フルボディで骨格がしっかりし、バランスがよく、長熟型)
ハリソン1997ミレニアムML(新樽200%と言っていました、ハリソン夫人=ワインメーカーも好印象)、シェーファー「ヒルサイド・セレクト」(パワフル、これがベストという人は結構いました。今やカルト・ワインの一つ)、スプリング・マウンテンCS(この辺りは意見が分かれるかも知れませんが)、ファー・ニエンテCS(凝縮感はすごい、しかし余韻のエグミが気になる)
****+(上に近い)
コッポラ「ルビコン」(もっと注いで頂戴)、セコイア・グローブSC(毎年、品質がよくなっている)、ハリソン1997CS(メルローに比較するとこうなる)、シェーファー1997ML(カベルネに比較するとこうなる)、スタグス・リープ96「SLV」(バランスよくスムーズで肉厚)///ジョセフ・フェルプス97CDN(余韻がよい)
****(バランスよくいまでも飲める、むしろ繊細に出来ている)
ケイン・ファイブ96(長くフルーティな余韻に関してはベスト)、ハイツ95SC「ベッラ・オーク(やや茎が気になるがハイツのスタイル)」、クロ・デュ・ヴァルML、ハリソン98Z、ジョセフ・フェルプス97「レ・ミストラル」(ローヌブレンドの成功例)/96CS(スパイシー)、ロバート・モンダヴィ96CS(スムーズさはベスト)、サンスーペリー97CS(ミシェル・ロランの影響でフルーティでバランスがよい)、セインツベリー98PN、セインツベリー97PNリザーブ///セインツベリー98CDN、セインツベリー98リザーブCDN(引き締まって固い)、セコイア・グローブ97CDN、シェーファー97CDN「レッド・ショルダー・ランチ」(樽フレーバー良いが酸が弱い)、スプリング・マウンテン98SB(太く、それらしい)
***+(ミドルボディで飲みやすい)
ベリンジャー95CS「ファウンダーズ・エステート」///モンダヴィ98CDN、ケークブレッド98SB、
***(アベレージ)
ハイツ96SC、ダックホーン97ML/97CS(このワインについては期待に反してというべき)、ケークブレッド97CS、スターリング「SVR」(状態が良くないかもしれない)///ハイツ98CDN
**(今一つ)
ダックホーン97「パラダックス(65:35=Z:CS)」(あまり成功しているとは思えないアンバランス)///トレフェセン97CDN(細い)シャルドネについては期せずして(というのは失礼か)最も高い評価になりました。樽を抑えたフルーツとスパイシーさと酸味がバランスしています。最も気に入った部分は微妙に変化する余韻でした。カベルネは評価には入れていませんが、力強さが欲しいです。ちょっとあいまい。ル・ミストラルは、ローヌブレンドの成功例と思いました。フルーツを抑える代わりにスパイスがしっかりしてインキーな雰囲気をちゃんと持っています。
全体としては、****レベルが多かったのは当然と言えますが、あたり前のワイナリーはともかくとして、私の一押しはハリソンのメルローで、右はそのラベルです。スキャンでは文字が黒になっていますが実は金文字です。「ミレニアム・メルロー・2000」と書かれています。次にスプリング・マウンテンは面白いと感じました。両方ともソノマに近い山手にあります。それからセコイア・グローブは一定の雰囲気を持ちながら良くなってきていますね。ファー・ニエンテなどは以前の造りとは全く違いますね。高そうです。
アルカンのワイン課の方からはジョセフ・フェルプスのワインについての追加情報をお送りいただきました。有り難うございました。敬意を表してコメントさせていただきます。ただテイスティングの中にインシグニアがなかったのはちょっと残念でした。シェーファーのヒルサイド・セレクトや、コッポラのルビコンなどが出ていた事実を考えると出していただきたかった。
ただ、こういった数10を越えるワインのテイスティングをこなさなければならない場合の問題としては余韻に関して十分な判断がしづらい、また一々グラスを洗っていられないために、あるいは洗ってしまうと水分が必ずグラスに残るため、微妙な部分を判断しようとすると逆に間違うということになるかもしれません。そうするとやはりアパレントな際立った部分で評価せざるを得ないということになります。結局はそれがもっともシンプルな評価になるのかもしれませんが。(H)
カルトワインについて(updated 4/16/00)
カリフォルニアワイン、特にナパ・バレーのワインで「カルト・ワイン」なるものが登場してしばらくたちますが、ワインスペクテータの4月30日号にカルト・ワインの特集がありましたが、この中で彼らはカルト・ワインは次の9つということにしています。
カルト・ワインがカルトワインたる所以は基本的にはロバート・パーカーかワイン・スペクテーターが100点とかそれに近い点数をつけたワインであり、生産量が非常に少なくて希少価値があり、入手が難しく、オークションで出たら数百ドル/本、高いものでは1000ドル以上もの値段がつくワインということになります。
昨年ナパを訪れた際に、カリストガ(ナパの北部)のエノテカというワインショップを訪れたのですが(日本のエノテカ、イタリアのエノテカとは全く関係ない)、ショップにいたコーレン氏が「98年の終わりぐらいに日本のエノテカっていうワインショップの人々がきたよ。スクリーミング・イーグルをケースで買いたいとか言ってきたけどそんなの無理だよね」といっていました。そこのエノテカでもスクリーミング・イーグルはありました。いわく「それは売らない。店のカザリだからね」と言っていました。「いや、僕は買う気はないし、ラベルを見れただけでも光栄だと思うことにするよ」と言ったら笑っていました。1994をはさんだハーランエステートの垂直4本セットが1300ドルでしたので、これは買いだったかもしれません。代わりにハイジ・バレットが造っている安いワインで「生産量が低い」ワインを紹介してもらいました。現地に赴くとそういうことがわかるのが楽しいです。
さて、「オーパス・ワンとはどっちがいいのだ?」「ダイアモンド・クリークとは、ドミナスとは?」と思われる昔からのカリフォルニアファンの方はいるはずですが、やはりカルトというからには「信仰」を生まなくてはなりません。生産量というのがキーです。どこにでもあるようになると、もはやカルトとは呼ばれないでしょう。アロウホとヒルサイド・セレクトは年間生産量が2000を超えますから、私の目からすればカルトと呼ぶには…という気はします。あとはパーカーと同じような好みを持っている方には「よいでしょう」と言えますが、「どっちが」という事については、自分で比較してみるまでわからないでしょう。どちらも著名なワインメーカーが造っているというのは事実です。
カルト・ワインはメーリングリストによる直販という仕組みをとっているものがほとんどです。当然、市場で買うよりも安いために、カルトに入りたい人々は日々ファックスを送りつづけてくるようです。コルギンの場合は、ハーブ・ラム カベルネの95%を1000名の人々に直販しているそうですが、なんと4000名がウェイティング・リストに載っているそうです。この人々がリストの中に入れるのは、これらのワインがカルトと呼ばれなくなってからのことでしょう。
さて、「これからのカルトを探そうではないか」ということでジェームズ・ローブが次のようなカベルネ/カベルネ・ブレンドを紹介しています。
いかがですか?皆でカルトに入りましょうか?(H)
オーストリアのワインはいかが?(updated 4/16/00)
カリフォルニアの次はオーストリアです。
オーストラリアの間違いではありません。オーストリアです。そんなところでワインが造られているのかと思うかもしれませんが、場所を考えてみると納得するでしょう。つまりドイツの南東に接していてイタリアの北東に接し、スロヴェニアとハンガリー、そしてスイス、チェコに接しているという位置関係にあります。ドイツはローマ人が入植したときからワインが作られていますし、ハンガリーには有名なトカイ・ワインがありますし、それを考えるとオーストリアは気候的には十分、ワイン用のブドウができます。
オーストリアでワインができるということが納得できれば、次は赤白どっちなんだという事になります。やはり白ワインです。約5/6が白ブドウ品種で、全生産量の30%を占めるグリュナー・フェルトリナー(あるいはヴェルトリナー)が中心です。その他にはリースリング、ピノ・プラン(ヴァイスブルグンダー)といったあたりです。そしてミュラートゥルガウ、ヴェルシュ・リースリングといったブドウになります。
ワインの法律は基本的にはドイツ法にならっていますが、ドイツより厳しい内容です。たとえば歩留まりはこちらのほうが厳しいですし、「カビネット」というクラスは、オーストリアではQmPではなくてPbAの方に区分されています。そしてさらに重要なことは最低マスト・ウェイト(砂糖の比重)はオーストリアの方がはるかに厳しいのです。たとえば、アウスレーゼの場合ドイツが83〜105エクスレという基準に対して、オーストリアの場合はしっかりと105エクスレと決めているのです。一言で言いますと、しっかりした基準の下に造られているということですね。
次は地域です。スロヴェニア(南)、スロヴァキア(北)、ハンガリー(東)と国境を接する東部地域で生産されています。キーの生産地域は次の4つがあります。
(1) Vienna ヴィエナ
(2) Niederoesterreich ニーダーオスターライヒ
(3) Burgenland ブルゲンラント
(4) Styria(Steiermark) シュティリア(シュタイヤーマルク)
ヴィエナとは首都ウイーンのことで、「ホイリゲ」が有名です。酒場でジョッキで飲むやつです(やりすぎて二日酔いになった経験があります)。ニーダーオスターライヒは、スロヴァキアに国境を接するエリアで、ドライな白ワインがいいわけですが、ドナウ川沿いの急斜面で取れるブドウが最高だとされます。ブルゲンランドはハンガリーと国境を接するエリアです。国境としてノイジートラー湖があって、秋にはちょうどよい霧が発生して貴腐菌が繁殖し、毎年貴腐ワインが生産される場所です。スロヴェニアと国境を接するシュテュリアでは種々のテーブルワインが生産されています。
さてベーシックを抑えたところで、「それでオーストリアワインはいいのか?」という質問に答えるのがここからです。答えるのは私ではなくて、ワインスペクテータのブルース・サンダーソンです。残念ながら私はあまり詳しくはありません。これも4月30日付けWSからの紹介です。少なくとも彼は、98年は97年より「よい」。そして「たぶん非常によい」と結論しています。15%のアルコール度数を持つワインもあると書いていますので、相当な熟成度になっていると考えられます。いったいどういうワインができているのでしょうか?「甘美で官能的な香りを持ち、白胡椒の香りがアクセントになっている。そうこれが素晴らしいグリュナー・フェルトナーなのです」。そしてもっと典型的な香りとして「セロリ、白胡椒、グレープフルーツ、そして熟成したアプリコット」を挙げています。ということで夏が近づいてくるということもありますので、今回のブルースのトップスコアからトロッケン(ドライワイン)についての紹介をしましょう。省略記号は、GV=グリュナー・フェルトリナー、R=リースリング、WB=ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)。番号は上記のエリアにマッチしています。造り手、ブドウ品種、地域を色づけしています。
という感じでした。すべてニーダーオスターライヒ地方のワインですね。Wachau(ヴァッハウ)、Kamptal(カンプタル)というのはその中の小さな地区で、いずれもドナウ川沿いの急斜面を持つ地域です。上記の造り手を狙っていけば楽しそうなワインです。また甘口ワインについても紹介してというリクエストがあれば、WSのリストから抜き出します。(私のソフトはウムラウトの表記ができませんので、eu/eoなどの表記とさせていただきました。あしからずご了承ください)(H)