Topics&Columns(2000年8月6日)
モンダヴィの南仏進出は多難の船出!
どうもモンダヴィは、モンダイヴィ、問題ヴィという感じですが、、、(~_~;;
というのは、ラングドックで生産するワインには60ドル〜65ドル程度の値段をつけることを狙っているようです。近隣の生産者もこの地域が再評価されることになるということで、モンダヴィの進出には大方は賛成のようですね。
しかし、以前にもお伝えしましたが、かのマス・ドーマス・ガサックのギベール氏を先頭に、まだ反対している人々も多いのは事実です。彼らの主張は、50haにも上る丘の開発は、取り返しのつかない生態系の破壊につながるというものです。そして何よりギベール氏が気に入らないのが、モンダヴィはガサックの畑より高いベターな位置にあるとうことだと思うのですが、、、(この辺りは邪推に過ぎません)
この人々が最近になって見つけた仲間というのが、グローバル企業の進出には単に反対する、マクドナルドさえ荒らしまわるという現地の農民達でありました。さらに勢いをつけよう!ということではあったのですが、ついに極めて危ない行動に出てしまったという話もお伝えしなければなりません。
直接の関連性については報告はどこにもありませんが、8月1日に、輸入ワインに反対するという15名ほどのグループがモンプリエの通商省のビルを占拠したのです。この人々はブドウ農家の連中で一時間以上にわたっていくつかの部屋に入り込み、コンピュータを窓から投げすてるなどの行為を行ないました。別のグループはスペインに通じるハイウェイの料金所を占拠して、リフトをあげっぱなしにし、逆に「輸入ワインの増加は、ローカルワイン産業にダメージを与える」と書いたパンフレットを配ったのだそうです。
ようやく最近になってモンダヴィは土地のリース契約を結んだわけですが、上で見ましたようになかなか多難の船出になっています。この反対者達には、自分達の生活は守らなければならないし、当然現地の産業を守るという大義名分があるでしょう。たぶんにモンダヴィ側に「進出しても困難」と思わせるデモンストレーションですが、経済開発が欲しい当局側は、当然犯人を突き止めて、刑務所に数年閉じ込めて、モンダヴィ側をなだめるということになるのでしょうかね。
話は全然変わりますが、スタートレック・ネクスト・ジェネレーションに登場するエンタープライズ号の船長は、ジョンルーク・ピカードというフランス人なのですが、彼の家系はブドウ農家で、父親は頑固親父という設定なのです。確かこのTVシリーズの時代は24世紀のはずですが、画面では、ダーっと広がるブドウ畑が映し出されるのです。今とあまり変わらないブドウ畑のシーンなのです。本当に24世紀頃のブドウ畑は、今のまんまですかね?ブドウは所詮農産物だし、それは代わることはあまりないとしても?大規模にはなるという流れは普通に予測は出来ますが、遺伝子合成工場でブドウの大量生産もできるようになるでしょうし、ワインはあたりまえのように合成できるでしょうね・・・つまらん世の中だ。
そういえば、ピカードはぴかぴかのはげ頭でモンダヴィもはげ頭ですね・・・・それが落ちでした。 (H)
離婚をしたらどちらがワインをとる?
皆さんのお宅では、ワインはだんなのもの?おくさんのもの?
離婚するときに揉めるのは、親権問題だったりします。金銭的な問題に関しては、実際にはあまりもめないというのが一般的ではないでしょうか?カナダのケベック州であった話です。
夫は医者で、妻は病院の事務員でした。夫妻は趣味でワインをコレクションしていました。古いものでは1937年のドイツのワインというものもありました。財産に関しては50:50で均等に分けましょうということに合意したのですが、チリワインのバラの香りとフランスワインのカシスの香りとどのように比較するのでしょうか?あなたならどうしますか?結局はモントリオールの地方裁判所でこういうことにしたそうです。700本のワインから、夫から始めて、交互に自分が欲しいワインを取っていくというやり方です。1937年のドイツワインは、妻の父親からの贈り物ということで、妻が取りました。
1937年というのは、多分誕生年ですよね。37年生まれなら63歳。それはともかくとして、ドイツワインのそれほど古いものになりますと、どのようなものか…あける時期を決めているのでしょうかね?(H)
ロス・アンゼルス(LA)にワイナリーが戻ってくる
カリフォルニアでよいブドウが栽培できるのは、ウィンクラー(およびアメリーン教授)の温度区分によれば、ノース・コーストと言われ、それを代表するのがナパです。しかし、実はロス・アンゼルスの南部地域までも、地域を選択すればきわめて良質のブドウが栽培できるということがわかってきています。そして、これらの地域で栽培されたブドウというのは、南部地域でそのまま醸造されるということはなくて、実は北部まで運搬されてワインに醸造するというのが一般的です。しかし、ピアース病のために、それを媒介するシャープシューターの伝播をも恐れて、南部地域で栽培されたブドウが北部地域へ搬送するのを制限しようとしています。このような背景もあって、今回の動きが出てきたのですが・・・
実はLAカウンティには、ワイナリーがありません。というのはワイナリーというか、ワイン造りを禁止する法律があるためです。なんと1920年代に禁酒法時代に作られた法律がまだ生きているのです。われわれは以前からサンフランシスコより北部がメジャーな産地であったと考えがちですが、18世紀には南部地域の方が大きなブドウ産地でしたし、19世紀にはLAのエリアがワイン造りの中心でした。そして20世紀はじめの禁酒法で、カリフォルニア全土でワイン造りは禁止されたわけですが、そこからワイン産業の復興を図る段階で、ウィンクラーのAVAの温度区分が広く用いられ、北部地域が先行して注目を浴びるようになったたために、南部地域ではブドウ栽培は復興しても、醸造まで行なうことについては忘れられた存在になっていました。ブドウというのは、畑を一歩出ると農業から化学工業になりますので、つまり設備投資を行なってワイナリーを持つということになると一定量の生産を行なわないと採算に乗ってきません。そのために、量的な観点から今の今までLAカウンティではワイナリーは存在しなかったし、それ以外の必然性もなかったと判断しても間違いないでしょう。
この事実が認識されたのは、数年前にブドウ栽培者のジョージ・ローゼンタール氏がワイナリーを造る許可をカウンティに求めたときにわかったのです。そのときに禁酒法時代の法律によって、ワイナリーの設立はLAでは出来ないということがわかりました。こればかりは、カウンティ当局も変えようと思ったのでしょうか、ちょうど冒頭に書きましたように、ピアース病の影響でブドウの搬送が困難な状況にもなってきたことも後押しして、「ブティック」ワイナリーの設置については許可するように動き出しそうです。どうなりますやら。(H)
98年のジンファンデル
Wine Today と Wine Advocate の両方に総評がありましたのでお伝えしましょう。
Wine Today の方は、1998年は「評価はワイナリーによって分かれる」としています。「シーズンが始まるのが遅く、冷涼で湿気の高い気候だったが、ようやく10月に入って気温が上がった。最も良いワインはバランスよくエレガントに仕上がっているが、成功していないワインは、かたく痩せていて楽しめない」としています。一方で1997のワインに関してはスペクテーターでも非常に評価が高かったですし、一般的に90年代の中でもっとも良かった年とされていますが、「ジェットコースターのヴィンテージだ。収穫直前に雨が降ったりしたが、長い熟成期間となり、収穫は非常に大きくなった。一般的にはフルボディのワインで、超熟成したワインとなっていて、同様な年であった1995年よりよりバランスが取れている。つまらないワインはわずかだ」としています。そして1998のワインをいくつかテイスティングした結果、1997の方がよりボディが厚く、酸味とのバランスもよく取れていてちょっとだけ1998より上だ」としています。
ジンファンデルというブドウは、普通に考える以上に熟成させることは難しいブドウなのです。熟成しやすいですが、ピークを過ぎれば急激に酸度が下がったりする。ジンファンデルという品種はヴィンテージの違いが極めて大きく出やすい品種です。気候的には、1998年というのは夏が冷涼で、長いところでは収穫が1月も遅れたという畑もあるという気候でしたので、1997年とはかなりスタイルの異なるワインになっているだろうと私は推測しています。私の手元には、1998のジンファンデルというのはまだ一本もありません。Wine Today の話だけ聞けば、多分1997の方がパワフルなワインです。
さてWine Advocate の方ですが、「エル・ニーリョのお陰でうれしい驚き」とタイトルでコメントが載せられています。「1997年のヴィンテージは数多くの生産者は歩留まりを抑えなかったし、収穫も早すぎたし、補酸が多すぎたし、それほど美味なワインに仕上がっていたわけではない。もちろん良いものも多かったが、それ以上にバランスを欠き、ちぐはぐで、凝縮度も深みも足りないにもかかわらず酸度が高いというワインが多かった。1998年のカベルネ・ソーヴィニョンとメルローのテイスティングで、ジンファンデルも非常に出来、不出来の差が激しいのであろうと予測していたが、これは裏切られた。1997年のヴィンテージよりはるかに素晴らしいしばかりでなく、1996年よりもより一貫性が高い。エル・ニーリョのせいで春は遅く、冷涼な気候と多雨という極めて状況が難しい中で開花を迎えた。しかし良好な夏と、10月の高い気温の中で歩留まりを抑えたことでこのヴィンテージは成功することが出来た。ワインは全体的に、酸度は低く、丸みがあって、果実実が豊かで美味で、4〜5年はおいしく飲めよう。補酸された酸味は1997年ほど目立たない」
というコメントをしています。内容的には、なんと180度異なる評価をしているのです。Wine Todayというのは、複数のコメンテーターを代表して書かれていますのですべて、「私達はどうこう」という表現になっているのに対して、Wine Advocateの方は、「わたしはどうこう」という表現になっています。さて、皆さんはどちらを信じるでしょうか。
Wine Advocateでは、このコメントの最後に「ジンファンデルというワインは、ほとんどは5年〜7年でピークを迎えるワインで、2歳のワインより10歳のワインの方が楽しめるということなどはめったにない。逆のことを言う人がいるとすれば、その人はnecrophiliac(屍姦愛好家)だ」と書いています。言ってくれるわい。しかし、このワイン評論雑誌の強みはここなのです。言い辛いことを平気で言う。多数意見がまぜこぜになってしまって、「結局は中庸的」とか「どうにでも取れる」いうことがなく、「右は右」、「左は左」と、芯が一本通せるということです。しかし「屍姦愛好家」という表現はどうもねえ。(H)
ニュージーランド2000ヴィンテージ
3月頃に、ニュージーランド、南米大陸の収穫レポートを書きましたが、結局はニュージーランドは大豊作であったという話です。Bloomberg が伝えています。「結果は新種と、地域にもよりますが」として、収穫量は前年比で、シャルドネ=32%アップ、ピノ・ノワール=31%アップ、メルロー=26%アップ、リースリング=18%アップ、カベルネ・ソーヴィニョン=2%アップということのようです。しかしニュージーランドといえば、ソーヴィニョン・ブランですが、そのソーヴィニョン・ブランはなんと25%ダウンだったそうです。(H)
ワイン会のワイン
8月5日にカリフォルニアワインのワイン会を行ないました。登場順です。
ドメーヌ・カーネロス 1994
私の勘違いで、シュラムズバーグがなく、急遽ピンチヒッターで出しました。 ―ほのかな酵母香、ほのかなカラメル香、カリフォルニアにしては強すぎない酸味、中程度のボディ、突出しすぎない泡の感触ということで、偉大ではないが、極めてバランスの良いスパークリング。キスラー、シャルドネ、ソノマ・コースト 1997
購入して1年経つ。熟成感について若干心配があったものですが。―極めてボリューム感のある香りで、熟成したロースト香とバニラ香が圧倒的。ナッティで、バラ香があり、わずかに新鮮なシトラス系の香りが複雑性に期待をもたせる。味わいは、香りの印象からして、もう一つパワーと凝縮感があってよい感じがしたが、酸味もわざとらしくなく程よく、ヴィスコスな感触と、アタックのかすかな甘味があり、長い余韻が、完成度の高いワインであるということを知らしめる。タリー、ピノ・ノワール、アローヨ・グランデ 1997
あまり知られていませんが、セントラル・コーストで、現在一押しのワイナリーです。ジンファンデルで有名なターリーとは異なります。 ―非常に正統派のワイン。色も濃く凝縮感のあるラズベリーとロースト香など美味くバランスしていて、筋肉質な印象の香りをもつ。味わいとしては、セントラルコーストという先入観があるものの酸味が豊かで、タンニンも豊かで若々しいが繊細で、ボディは厚く、フレーバーも強い。その中には、フレッシュなラズベリーとナツメグ、アメリカン・チェリーなどが入り複雑なワイン。余韻はやや短いがフレーバーがそのまま残る感じがよい。カレラ、ジェンセン 1995
あまり市場での見かけなくなったヴィンテージですが、これはワイナリーで仕入れたものです。 ―既に熟成に入り始めた印象を与える様な色で、リムはレンガ色となっている。コアの部分も、中程度のルビー。セントラルコーストの熟成に入りかけたワインの特徴である、紅茶と海苔が入れ混じった様な熟成香をすでにもつ。しかし、背後にはかのブルゴーニュの特級クラスのピノ・ノワールが熟成したときにかもし出す、妖艶な第三香も持っている。味わいは、酸味は若干とげがあるが、タンニンは繊細で、フレーバーは豊満、プラミーであり、様々なベリー、チェリー、熟したプラム、紅茶、ロースト香などがあり、幾つもの層の広がりをもち複雑。余韻は極めて長い。ウィリアムズ セルイェム アレン・ヴィニャード 1995
当初の予定を変更して、ハーシュからアレンに代えました。ハーシュは割にまだ手に入るのではないかと思い変更しました。手元にあった最後のアレンでした。 ―色はリムはまだ黒っぽく、若さを感じさせる。香りは一瞬ジェンセンに似ているが、しかし、似て非なるワイン。香りはラズベリーとロースト香もしっかりついていて、まだ若い。味わいにもアタックには甘味もあり、酸味がしっかりして、タンニンは大きくはないが、繊細でもなく、まだ熟成過程にあるワインという印象。フレーバーには、アメリカのピノ・ノワールの真骨頂である凝縮した果実と、甘い感じのローストが良い。ジェンセンの豊満に比較すれば、こちらのワインは引き締まったワインで、この感じは最後まで変化がなかった。シェーファー ヒルサイド・セレクト 1986
ボトルを開けたときには、堅くて線が細いかなと思われましたが、飲むときにはビッグワインでした。 ―色は濃厚な色。この程度のワインになれば、抜栓して時間がたつと色まで変わってくる。香りには、一瞬酸が立つような印象があるが、これは熟成が進んでいる香り。ブラックベリー、皮、中国茶、血、腐葉土などの香りは一通りあるもので、若干のマディラ香も入り、やはり熟成は進んでいる。味わいは、酸が大きく、タンニンもしっかりして大きく、フルボディで、フレーバーも香りと同様の内容でバランスできているワイン。余韻も長く残る。先日飲んだ1985は大きな造りのワインだが、こちらは複雑みがあるワイン。ベリンジャー プライベート・リザーブ 1986
抜栓の時からこれはビッグなワインだという印象がありました。 ―色はシェーファーと同程度。香りは抜栓時より落ち着いた感じで、シェーファーとの違いは、マディラ香がまだついていないということ。香りは若干閉じた感じで、ロースト香やバニラ香もしっかりとして、凝縮度の高いブラックベリーの香りが強くまとまった感じ。味わいは、酸味、タンニンとも量は多めだが繊細で、これでフレーバーが大きく開いていれば申し分のない状態であった。フルボディで、余韻は長く、心地よいバランスを保つ。順調に熟成の過程にあるワイン。
当然のことですが、どのワインが良いというのは参加者の皆さんそれぞれ、異なりました。キスラーは皆さん合格点のようでした。赤については、ジェンセンが皆さん良いとおっしゃられたと思います。カベルネは、分かれました。熟成してくると酸が立ちぎみなワインが好きな方も大勢いらっしゃいますし、渋くて大きくて堅いワインの方が好きな方もいらっしゃいます。ちなみにわたしはベリンジャーでした。今回の目玉であるウィリアムズ セルイェムがベストとされた方はいなかった様です。タイミングが合わないと難しいです。残念でした。(H)