Topics&Columns(2000年8月20日)
ミシェル・マニエンの復活
先日、カリフォルニアのNorth Berkeley Wineからニューズレターが届きました。ここはカリフォルニアにもかかわらず、ブルゴーニュものをかなり扱っているワインショップで、ロバート・パーカーがその「目利きのよさ」を絶賛してから、日本でも注目を集めるようになり、テロワールなどでもここのブランドを輸入しています。
フレデリック・マニエンの父親にあたるミシェル・マニエンの99年ヴィンテージを特集し、先物予約をつけつけているのですが、そこで紹介されているストーリーを簡単にご紹介します。
マニエン一家はブルゴーニュ地方の昔ながらのワイン農家で、父親にあたるミシェル・マニエンは長らく立派なセラーが欲しいと思っていました。(ブルゴーニュはボルドーと違い、シャトーという立派なワイナリーではなく、ブドウ栽培農家が細々と生産している場所で、それゆえ、80年代まではネゴシアンの力が圧倒的に強かった地域です。)ようやく完成したのですが、最後の仕上げとして建築業者が梁に塗料を塗って仕上げたのですが、これが災いのもとでした。
この塗装に使われた物質は1992年に法的に使用が禁止されていたもので、この作業をしていた1-2日の間に、すぐセラーの上に位置していたセラーやボトリング設備、貯蔵設備に影響し、ワインは汚染されてしまいました。においも味もおかしくなったのです。97年および98年のすべてのヴィンテージがやられてしまい、すべて廃棄処分となりました。
そうして久々に、99年のヴィンテージが世に出されるというのですから、その意気込みはかなりのものでしょう。2年間、無収入になるというのは、ただでさえ大変なブルゴーニュ農家にとっては致命的なことかもしれません。幸い、フレデリックがどうにか支えてくれたので切り抜けられたのかもしれません。
ミッシェル・マニエンはすべてエステートものです(フレデリック・マニエンは買ってきたブドウを使っています)。ちなみにお値段は、以下のようになっています(一部)。
クロ・サン・ドニ99 $124.95
クロ・ド・ラ・ロッシュ99 $105.95
シャルム・シャンベルタン99 $94.95
モレ・サン・ドニ99 ‘Les Millandes' $63.95
ジュヴレ・シャンベルタン99 "Aux Echezeaux" $49.95
などなど。すべてノン・フィルターです。(N)
ストローでシャンパンを飲む
フランスのシャンパン・メーカーであるポメリーは、ストローつきのシャンパンボトルをアメリカで売り出すそうです。だいたいグラス1.5杯分ぐらいの量で、専用のストローつきです。小売価格は10ドル程度になるらしいのですが、伝統あるワイナリーが、そこまでして売りたいか?と首をかしげる向きも多いようです。町を歩きながらでもシャンパンを飲めますね。シャンパンはシャンパングラスで飲んでこそ、その真価がわかるものではありますが・・・しかし、ビールだってもちろんグラスで飲んだ方がいいけど、缶ビールをそのまま口にしているんですからねぇ。シャンパンをビール並みのメジャーな存在にするためには、メーカー側もいろいろなことをやります。
とりあえず10月頃からシカゴで試験的にマーケティングされるとのことです。(N)
地震とワイン
8月18日のLA Times の記事からです。
カリフォルニア大学バークレー校の研究員であるジョシュア・マロウが、ワイナリーの数多くの代表を前にしてテストをしました。
12個の樽を、6個づつ2列にしてコンクリートの台の上に並べてマグニチュード7.4の強さで横揺れを起こして見せたのです。安全用に紐でとめてあったために、樽どおしがぶつかり合って、中身をこぼすということだけで樽が崩れ落ちるということは無かったようですが、100名強の人々を呆然とさせるには十分だった様です。「これまではあまりに無神経だった」というコメントを専門家は残しているようです。
このような実験の直後には「なにかしなければいけない」と思うのですが、すぐ忘れてしまうものです。現在の6段積みというのは20年近く続けてきているもので、それにあわせて生産量も増えてきているようなものです。このやり方を変える事になるのでしょうか?
ここの記事の中では、「847のワイナリーが、サンアンドレアス地峡から30マイルのところにある」と紹介しています。サンアンドレアス地峡にワイナリーを持っている人もいます。(H)
Wine.comとWineShopper.comとの合併のはなし
Wine.comとWineShopper.comとの合併の話が決まりました。
いろいろなソースが伝えていますが、下記のようなコメントがありました。
日本では誰がメインプレーヤーになりそうですか?またしてもソフトバンクかな?(H)
インターネットのビジネスモデル
上のトピックは、完全にインターネット上で確立されたビジネスモデル、つまり中間段階を飛ばしたB2C(Business to Consumer)の中で、効率化を進めるために合併しましょうという話なわけですが、果たしてワインもこれでよいでしょうか?酒屋さん、卸さんは無くていいのでしょうか?
情報が無かったつい2年ほど前までは、出てきたワインをテイストして気に入ったワインを買わなければならなかった。あるいは良いワインを買うために、ワイン以上に情報に飢えていた部分があったと思います。いつだかWine Advocateはどうやって購入するのですかという質問を受けたこともありました。しかし今では情報が逆に氾濫するほどで、Wine Adovocateもインターネットで申し込みができるようになっていますし、雑誌に関する限り言語に制約を設けなければ、青山ブックセンターで世界中のワイン雑誌がおいてあります。値段はばかげていますが、とにかく手に入れようと思えば手に入れられる。その中には、ワインのテイスティング・レポートなどは山ほどあります。そしてワイン・スペクテーターなどはインターネットさえあれば、雑誌さえ買う必要もなく、そのレーティングをただで見ることが出来ます。
消費者が最終的に必要とする情報というのは、「良いワインは、どこで安く買えるか」ですので、少なくとも「良いワイン」がどれかというのは、既にいながらにして分かる状況です。そして、ワイン販売がネット上で行なわれてくるようになると、値段は均一化してきます。業者さんがお互いに値段を見せ合っているようなものですので、値段は低くなるはずです。高くては売れない状況が出てきます。
情報量の差だけ考えると、最終消費者に対して、付加価値をもたらすことは出来なくなってきている状況が進んでいるのです。われわれ消費者に取ってみれば、レーティングを片手に、様々なレベルのワインを大量の在庫を持つ中間業者があれば、そこに対して注文をかけることで、全て事足りるということになるのではないでしょうか。
私個人としては、ワインに限定すれば、いずれその方向にいくのだと考えています。競争が減るという上では好ましいとはいえませんが、上記のトピックような世界最大級の在庫を抱えるネットワイン業者が直接消費者に対して販売するというのは時代の流れです。反論をお待ちします。
しかし、そうはいいながらも、日本の酒屋さんは日本酒も売ればビールも売るし、スナックも醤油もアイスクリームもあるわけで単純に情報だけが付加価値とはいえないというのは事実です。サザエさんでは無いですが「三河屋さん」が街から完全にいなくなるとすると、そんな時代は・・・(H)
ナパ2000年の収穫開始
8月18日にナパのマム・キュベ・ナパの収穫が始まりました。ナパ最初の収穫です。これから4週間近くかけて収穫するようです。7月は寒かったようですが、それ以外の気候は素晴らしかったようで、親会社であるシーグラム・シャトーの副社長であるグレッグ・フォーラーによれば「1997のシーズンを彷彿とさせる」ようです。彼によれば、今年はフィロキセラのために植え替えたシャルドネがようやく軌道生産ができる年だそうで、ナパ全体で最大の収穫量になる見込みです。
同じグループであるスターリング・ヴィニャードでは、昨年より12日早く、1997年より1週間遅い8月20日の週に収穫がスタートする模様です。(H)
外人部隊登場(ピアース病対策)
ついにメキシコからカリフォルニアに外人部隊が到着しました。これも先週いくつかの報告がありました。
300匹のスズメバチが、検疫を通過しロス・アンゼルス南のリバー・カウンティで放たれました。ガラス羽シャープシューターの卵を食い尽くすのが目的です。そしてこれが効果的であるというのが判断されれば、数千というスズメバチの養殖に入るのだそうです。
だー。っという感じです。やってくれるわい。
「これまでのところ非常に良い結果が出ています。何百万年もの間進化しつづけ、シャープシューターの卵を見つけて食うということをやってきたわけですからね」とは、サクラメントのピアース病タスクフォースのリーダーであるラリー・ベザーク氏です。悠久の歴史の中に、ある虫が別の虫の卵を食うという話を結び付けるとは、すごいというかバカっぽいコメントですが・・・。
現在の所は実験ということですが、効果的である事になれば養殖場を作ら無ければなりませんし、なにやかにやで本格的に症状が進んでいる地域で解放するのは来年になってからのようです。この間カリフォルニア大学リバーサイド校で、ガラス羽シャープシューターの卵に対してどれほどのスズメバチの数が有効なのかなどの研究もされます。
またどうもこのスズメバチは人に対しては無害なようで、高い人口のエリアでは薬品の散布は出来ないわけですが、そういうエリアでの対策用にこのスズメバチを使うことが考えられています。ナパ、ソノマの辺りではガラス羽シャープシューターは、まだ活動はしていませんので、スズメバチ導入は今のところ予定されていません。
日本でこんなことがあっても、生態系の話は別として外人部隊を呼ぶなどということは絶対やりませんよね。大災害があっても外国の手は借りない主義の政府ですからね。アメリカはえらい!(H)