Topics&Columns(2000年9月3日)

 

ベリンジャー買われる!

先週はミルダラ・ブラス(あるいはフォスター・ビール)が、ベリンジャーを買うという記事が大きく報道されました。つい先日にベリンジャーがKJを買うという話がありましたが、全く違うはなしが飛び込んできました。いずれにしてもオーストラリアの新興のアルコール会社が伝統あるアメリカのワイナリーを買うという事で驚きです。報道のあった次の日には、株価も一気に23%の上げています。

ベリンジャーは1876年にドイツ人兄弟の手によって設立されました。禁酒法時代も生き抜きましたが、1971年にはネスレの手に渡りました。品質が向上しましたが、その後1995年にはネスレから、アメリカの投資家の手に渡りました。それ以降は、グループとしてメリディアンを買収し、スーヴレイン、シャトーセント・ジーン、そしてサッポロ・ビールが持っていたセント・クレメンツも傘下に収めてきていました。戦略的にどうなるかは、まだわかっていません。

もう一つ、今度は売却のニュースがありました。これもいくつかのソースがあります。セバスティアーニ・ヴィニヤードが持ついくつかのブランドの売却が決まりました。そして買収したのは、ザ・ワイン・グループです。セバスティアーニといえば、古くからソノマにワイナリーを持つ家族経営のワイナリーですが、社長によれば、成功はしてきたが、巨大資本を投じるような競争市場では、グループ企業の健全な経営を続けていくことは出来ないと判断したとのことです。ただし、セバスティアーニ・ブランドはこれまで通り生産を続け、ウルトラ・プレミアムワインの生産に注力していくとのことです。セバスティアーニは、カリフォルニアでは最も古い巨大オークタンクを持つことでも知られています。早くからイタリア品種に挑戦するなど面白い試みもしてきています。

ワイナリーとかヴィニヤードのM&Aは、要注意ですよね。ワインの味を決める基本要素である、ブドウの品種、畑、人などがどう動くかを見ない限り、今後期待していいものかあるいは全く逆になるのかは判断するのは危険だと思います。(H)

オーストラリア ― いくつかの受賞

パンターズ・コーナー・シラーズ1999が、ペンフォールズ、ウルフ・ブラスその他の強豪を抑えてジミ―・ワトソン記念トロフィーを受賞しました。このパンターズ・コーナーは、クーナワラで1988年に最初に植樹したワイナリーです。ここのワインメーカーは、ニュージーランド出身のピーター・ビッセル。この賞は、珍しく1年物のワインに送られる賞で、最終的にボトリングされるワインとは異なる可能性があるのは事実ですが、オーストラリアの朝の全国ニュースで報道される唯一のワイン関連の賞です。過去3回この賞を受賞したウルフ・ブラスによれば、注目を浴びるようになって経営上も楽になったと述べています。

さて、皆さんはオーストラリアワインのラベルには数多くのメダルのマークがついているのをお気づきでしょうか?彼らはマーケティングの目的でこのようなことを行なっているのですが、実は、メダルというのはあまり意味がありません。多くのメダルが乱発されるからです。しかしトロフィーというのは、一つの賞に対して一つなので、その価値の差たるや格段の違いと申せましょう。しかも今回の受賞は、ジミ―・ワトソン賞ということで大きな価値があります。この受賞は2000年ロイヤル・メルボルン・ワイン・ショーの中で行なわれるもので、賞の一つには「クボタ・トラクター賞」というのもあります。

続いては、カンタス・ワインマガジンのワインメーカー・オブ・ジ・イヤーです。受賞者は、ヴァンヤ・カレンです。あのカレン・ワイナリーのオーナー兼ワインメーカーです。両親が30年前に始めたワイナリーを引き継ぎ、90年代一貫して高い品質のワイン、カベルネ・メルロー、そしてシャルドネを生産しつづけました。9月5日のASET時間午後5時よりwww.winepros.com.auでライブチャットがあるそうです。

最後の受賞は、アメックス・レストラン・アウォードです。下記が受賞者リストです。全国から選ばれています。

  • Fee and Me (トロフィー、ローンセストン)
  • Forthy One Restaurant (シドニー)
  • Donovans Restaurant (メルボルン)
  • E'cco Bistro (ブリスベーン)
  • The Loose Box Restaurant (パース)
  • Alphutte Restaurant (アデレード)

機会があれば、ぜーんぶ試したいですネッ!(H)

ボーリュ―100周年記念

ボーリュー・ヴィニヤード(BV)といえば、ジョルジュ・ラトゥール家が始めたワイナリー。あのカリフォルニアワインの父、アンドレ・チェリチェフがワインメーカーをしていたワイナリーです。一時期ヒューブラインに買収され、ひどいワインの生産を余儀なくされていた時期がありましたが、最近はかつての栄光を取り戻しつつあるワイナリーでもあります。2000年は100周年記念という事で、収穫の儀式でも若干趣向をかえ、伝統的な儀式をとり行いました。ナパ・ニュースからの記述をそのまま要約してお送りします。

新世紀のはじめての収穫を終えて喜ぶ人々が見守る中、収穫したシャルドネに対してサン・フランシスコ大司教が「聖なる水」をふりかけ、そして恵みの祈りをささげたのでした。(欧米では2000年を新世紀の始まりとする国があります)そして司教が聖書からの引用で、イエスが水をワインに変えたという部分を読み上げると、大司教が「ワインは神の恵み、大地の恵みです。そして神は、ワインを通じて人と人との間の友情と結束を願っているのです。神よ、我々はあなたの雨の恩恵には感謝します、しかし今日は少ないほうがありがたいと願っています」と述べました。珍しく雲が差し掛かり、ぽつっと感じるくらいの雨が降っていたために大司教はあえてそのように締めくくったのです。

1919年に禁酒法が施行された際には、BVはサン・フランシスコ大司教にワインを収めるべく生産を続けていましたが、この儀式のためにその際の大司教とBVとの契約書の写しも拡大されて、ディスプレーされました。

かつてはロス・アンゼルス大司教もBVからワインの供給を受けていたといい、1948年にはロス・アンゼルス大司教からBVに宛てた手紙があり「聖なるミサに使用するにふさわしい品質の高いワイン」と述べられているのです。

いろいろな話がありますねぇ。欧米では生活に密着している飲み物なんですね。(H)

”AOC”「ナパ」問題

アメリカのAOCシステムとも言える、「AVA」では75%以上ある特定の産地から生産されたブドウでなければ、その名の地名をラベルにつけていけないと定めているのですが、ブロンコ・ワイン・カンパニーは、つい先だってベリンジャーからナパ・リッジというラベルブランドを購入したとして、ナパ産のワインでないワインに関しても「ナパ・リッジ」とつけて売ろうとしました。

しかしこれはカリフォルニア上院議会でダメということが改めて確認されました。そしてこの法律を破る場合、ワイン販売のライセンスを取り上げられてしまうことになりました。ブロンコは、これとは別にBATFとの間で、ラベリングが違法という事で調査を受け、すでに75万ドルの罰金を払うことになっています。

時にモンダヴィは、昔はモンデイヴィと呼ばれていたというのはご存知ですか?多分ご存知ないでしょう。今のロバートは、もともとチャールズ・クリュッグにいたのですが、現在チャールズ・クリュッグをやっているのは、ピーター・モンデイヴィ。ロバートの実の弟です。ロバートはけんかをしてチャールズ・クリュッグを追い出されたのです。その頃は、全てモンデイヴィと名乗っていました(こういった話が「NAPA」という本に書かれていて、面白いのですがねぇ・・・今のところ出してくれそうな出版社がありません)。

そのモンデイヴィの方がBATFから違法ラベリングという事で30万ドルの罰金を命じられています。「ブドウ産地としてはあくまでカリフォルニアで、ワイナリーの場所という事でナパとしている。はっきりしている。BATFもそれは認めている」とモンデイヴィ側は反発しています。CKモンデイヴィ ブランドで出しているホワイト・ジンファンデルがワイナリーの場所という事で7回もナパを引用しているということのようです。30万ドルの罰金というのはブロンコの75万ドルに続く額だそうです。

BATFは苦情を受けたので調査したとしていますが、誰からの苦情からかは述べていません。

上記に関連する報告も先週は非常に多かったですが、ナパの人々は「ナパ」の名前を守っていきたいのでしょう。品質の表現であると同時にマーケティングのツールと考えれば、そのこだわりはあたりまえかもしれません。(H)

スズメバチその後(ピアース病対策)

WineryExchangeというB2Bのブドウ(ワインではない)のオークションサイトがありますが、先週のピノ・ノワールのオークションに際して、フォクスン・ワイナリーが入手したブドウの売却金額は、すべてピアース病対策研究のためにアメリカブドウ生産者協会に寄付されることようです。

ピアース病を媒介するガラス羽シャープシューターの対策に関しては当面は殺虫剤という方法で対処しているわけですが、これに加えて以前メキシコからの外人部隊スズメバチが実験に入ったことも報告しました。600匹のスズメバチが放たれたわけですが、フレズノとタレイア(トゥラーレ)では、スズメバチの導入が来年に遅れそうです。理由としては、州の食料農業局で化学薬品での効果を確認してからやろうとの判断がなされたためです。

カリフォルニア州の特に北部のいくつかの郡政府では、水質汚染を防ぐため、すでに殺虫剤の空中散布を禁止しました。住宅も密集している地域にブドウ畑があるためです。ただし、自分の畑に散布するのはかまわないようです。一方では、殺虫剤禁止を訴える団体の存在が、殺虫剤の効果的な利用を困難にしています。

ナパ、ソノマにガラス羽シャープシューターが現れた場合の対策はスズメバチしかないかな?しかしこっちをとればあっちがだめ、という対策ばかりで根本的に全てに有効な対策はないというのが現実です。それとも、もうワインを造るなという神のお告げ?(H)

ケイマスのヴィオニエ問題

ワインスペクテータ・オンラインを参考にお送りします。

ケイマスは過去に、ソノマ・ブレープヴァインという苗床業者からルーサンヌを購入し、モントレー近くのサリナス・バレーに購入した畑に植樹しました。それからしばらくたって、ある畑職人がやってきて「どうもルーサンヌにはみえない」というのでDNA鑑定に出したらヴィオニエであるということが判明しました。これを受けて、ケイマスは、ソノマ・グレープヴァインを訴えました。そしてソノマ・グレープヴァインももともとの挿し木を提供したボニー・ドゥーンを訴えました。そしてボニー・ドゥーンの社長のグラハム・ランデールは、「もともとシャトー・ヌフ・ド・パプでルーサンヌとして手に入れた挿し木だ。これまで全く疑ったことがない」としています。

これに対してソノマのリチャード・クンデ社長は、「あの時は(葉がついていない)裸の挿し木だったし、グラハムは当時ローヌ品種の父とみなされていた。疑うはずもない」と応戦しています。グラハムは「皮肉なもんだね。そのクローン(ケイマスが持っているヴィオニエのクローン)はカリフォルニアでは一番いいクローンなんだが、、、しかし買い手はXが欲しかったが、Yを手に入れた。そしてYの方がXよりずっと面白いし適性があったというわけさ。まあルビーを探しにいってダイヤを手に入れたようなもんだろう」といっています。私が知っている限り、グラハムという人は、ユニークであり偏屈でありという人ですが、その人ならではのコメントです。

クンデ氏が調べた結果では、10ほどの生産者がこのヴィオニエを既にルーサンヌとして販売したといいます。その中で、アマートワイナリーは、このヴィオニエをルーサンヌとして販売した結果、ベスト・ルーサンヌとして受賞しました。実はヴィオニエであったという事実が判明してからはルーサンヌとしての販売は停止しましたが、顧客からのあまりの問い合わせで、ルーサンヌという名は当然のこと、ヴィオニエとしてでもなく「ミステリー」という名をつけて販売開始を考えているそうです。20年間の生産者としての活動の中で最も注目を浴びているとか。

もう一つのワイナリーは、ザカ・メサ・ワイナリーですが、リコールを行なって、ラベルを張り替えるようです。「ブドウの木を引き抜くなんてことはしませんよ。むしろいい機会だと思います。いいクローンですしね」といっています。

そもそものケイマスは、現在のヴィオニエをどうするつもりかということは何らコメントは出していませんが、既に「ヴィオニエ」というブランドでワインを売っています。ルーサンヌよりははるかに高い値段で売れているはずですね。すでに利益を得ているはずですから、訴えるのが筋違いともいえます。ケイマスの真意はどこにあるのでしょうかね?多分違う何かが欲しいのだと思いますけどね。(H)

新たなビジネスモデルを引っさげてカルト・オーストラリア登場

オーストラリアのシャルドネで最も皆さんが欲しいワインといえばなんでしょうか?オーストラリアのシャルドネはあまり知らん。ということでしょうか・・・

オーストラリアでは、アメリカとはえらく違い、顧客に対して直接販売する小規模の生産者に対しては税の戻りがあるのですが、あるワイナリーが行ない始めた販売方式が、それらの小規模のワイナリーのビジネスモデルになるかもしれません。

最も欲しいワイン、そして新たなビジネスモデルを始めたワイナリーというのは、ジアコンダ・ワイナリーです。

ジアコンダのオーナーのキンツブルンナー氏は、「メーリングリストでワインを買う人がもともと多いし、業者の皆さんにいろいろと説明する必要がなくて、ワインメーキングに専念できる」しということで、オンラインでの「入札」販売に注力し始めたそうです。

注文する人は、インターネットでジアコンダのHPにアクセスして自分の入札価格を提示するか、あるいはファックスで注文をします。このトピックは最近のワインスペクテータに出ている話ですし、ジャンシスが以前フィナンシャル・タイムズに紹介しているワイナリーですので、世界中からのアクセスがきているのであろうと推測します。(H)

ブドウの木の年齢とワインの味わい

通常ブドウの木の寿命は人間と同じと言われます。そしてその活力も良く人間に似ています。3歳、4歳のころまでは幼少、20歳頃になってようやく一人前で、まともなブドウの実をつけるようになる。40歳頃で立派な実をつけるようになり、そして50歳を超える頃になると「オールドヴァイン」として知られるようになる。それが延々と続くということになります。

古いものですと130歳を超えるブドウの木もあるのですが、なかなか古い木を育てつづけることが出来ない理由もあります。人間と同じですので、病気がもっとも大きな理由になるでしょう。次にマーケティングの観点も入ってきます。ブドウの木は古くなりますと、凝縮した果実をつけるのですが、生産量が少なくなるという問題点があります。活力が低下してくるのです。従って、ワインが事業である限りは、全てを古い木でまかなうということはごく限られた優れた生産者でなければ極めて難しいのです。ロマネ・コンティ畑でさえも、植え替えは必要なのです。3月に訪問したときには、本当に植樹したばかりと思われる木がかなりの数ありました。当分はロマネ・コンティには使わないはずですが、そういった形で常に植え替えが必要なのです。

一方で、古くからのワイン産地としてあまり知られてこなかった産地には、実は古い木が、そして見た目にもおどろおどろしいブドウの木が数多くあるのです。南フランス、オーストラリア、そしてカリフォルニアです。これらのブドウは、シラーズ、ジンファンデル、カリニャン、ムールヴェードルといった、いわゆる南方系のブドウ品種です。これらの品種で造った優良なワインは、黒々としていて、凝縮した果実ということで一般的には知られていると思いますが、その理由の一つには樹齢が高いということもあるということもあるのです。

この中で私が最もよく知っているのは、ジンファンデルです。樹齢の高いブドウで造ったワインは凝縮度が高く「どうしてここまでなるか」といいたくなるほど「濃い」ワインです。一方で樹齢の低いブドウで造られたワインは、アルコール度数は高いもののジンファンデル特有の梅の果実実はあるものの凝縮感は余りありません。これまでジンファンデルといえば、「安かろう悪かろう」の世界でしたが、ここにきてカベルネ・ソーヴィニョンと同じように様々な価格帯をもつようになってきました。そしてそれらのブドウは、実はこれまで良く知られたブドウ畑からきているものではなく、ブドウの木は存在したが「新たに」ワイン用のブドウ畑として開いた畑であることも多いのです。ジンファンデルの場合は、ソノマに最も古い木があるとしているケースもありますが、シエラ・フットヒル、あるいはロス・アンゼルスの南方の地域に非常に古い木が存在します。

つまり、木の樹齢でワインの味は変わると言いたいのです。そうするとどこの畑から取れたブドウから造ったワイン?何歳くらいの木?ということについても興味が湧くのではないでしょうか。若い木と古い木を比べて飲んでみるということも面白いはずですよ。私などは古いブドウで造ったワインのほうが、味わい深いと思っています。人間もそうかな?多分そうなのでしょう。もちろん、ブドウでいうところのテロワール、つまり育ってきた環境というのは考慮しなければなりませんけどね。(H)

沈没船から見つかった古いワイン

「牛のフンみたいだ」

「簡単に飲めそうにないな」

「果実実はわずかにあります。オレンジの皮、マーマレード、そしてカラメル。驚くほど良いです。」

これはオランダで行なわれた300年もののワインの試飲会でのコメントです。ヤフーで配信している内容です。

さる7月7日に、オランダと北海の浅地から引き上げられた沈没船の中から見つかったもので、底厚のこけで緑になったフラスコ状の入れ物に入っていたようです。17世紀のオランダ戦争中のもので、当時は、スペイン、ポルトガル、フランスから現在のベネルクス地域にワインが輸入されていた時期だそうです。参加した専門家によると、テイストしたワインはドライポートで、さらに何らかのベリーで色付けしたものであろうとのこと。さらにその専門家によれば、当時のワインはバルクで輸送されるのが常で、ボトル詰されるものというのはごく上品に限られていたので、今回のワインも当時非常に良いワインであっただろうとしています。

そのワインが出来た時代に思いを馳せて、当時の人はどういう状況でワインを飲んだだろうと思い描くというはなかなかいいではないですか。

が、面白いのはその準備の話です。ボトル自体にはコルクが詰まっていた!ようですが、この試飲会を行なうために、そのコルクに小さな穴をあけ、中身を取り出し、真空下で様々な化学テストを行ないました。そして、アルコール度数、酸味、不純物をチェックしたのです。結果、アルコール度数は10.6%で、酸味は現在のワインと殆ど変わらないということ、さらに不純物は殆どなし、という事でこの試飲会をやりましょうということになったのです。

300年経ったワインにしては「期待以上」との評価だったようです。(H)