Topics&Columns(2001年5月28日)
新たなオンラインショップ?
5月18日にいくつかのソースで伝えていました。その名を「ワールドシップネット(WSN)」です。この会社はもともとマーケティング会社ですが、これまでの「生産者⇒卸⇒小売⇒消費者」という概念を保ったままで、ワイナリーから直接消費者に届けるというモデルを完成しました。
ご存知かもしれませんが、アメリカでは「ダイレクト・フロム・ワイナリー」を禁止している州が多いために、ワインテイスティング・ドット・コム(WT)でもこれまで18州しかワインのデリバリーは出来ませんでした。それを回避するモデルを考え付いたという意味では画期的です。
WSNは、25年のリカー卸の歴史を持つ「ライオンストーン・インターナショナル」、小売のライセンスを様々な州で持っている「ロウ・スパンティーノ」、そしてワインのピックアップ〜パッキングには「ワインシッピング・コム」と「ヴィンテージ・ロジスティックス」を提携先とすることでこのモデルを完成したというものです。イギリス、日本、オーストラリアへもシームレスでワインを届けることが出来るようです。
WTの完全自立とWSNのマルチ提携、いずれもダイレクトでワインを届けるモデルですが、両者のモデルがどこまで行けるか楽しみです。(H)
ブリュッセルのワインコンクール
いつなのか、はっきりした日付はわかりませんが、最近、ブリュッセルで第8回のワインコンクールが開催されました。南アの5月22日付のSouth African Wineというサイトでレポートしているので、南ア中心のレポートですが、30カ国3006種類のワイン、140人の審査員によって選ばれるというものです。南アが20のメダル(ゴールド3つ、シルバー17)、そしてチリは87(ダブル・ゴールド1つ、ゴールド7つ、シルバー79)。そして面白いところではモロッコがグレート・ゴールド・メダルし、メキシコのカベルネ・ソーヴィニョン(Casa Grande Cabernet Sauvignon 1998、 Parras Valley )がゴールドを獲得しています。南アワインのゴールド受賞ワインは下記です。
ご存知のように、マーケティングのために大量のメダルがつけられているので、はっきりいってシルバーとかはそれほどの意味はないのかもしれません。しかしグレート・ゴールドやダブル・ゴールドなどになるとそれなりの希少価値があるはずです。記事にはモロッコのワインの名前は出ていませんでしたが、どなたかご存知でしたら教えてください。(N)
トム・スティーブンソンのアトラスにメキシコの「Monte Xanic」というワインは良いと書いています。メキシコはアメリカとの自由貿易協定の中でワイナリーが立ち行かなくなった状況があります。そんな中で受賞するワインがあるというのは立派。(H)
CAワイナリー二人のワインメーカー動く
5月19日付けスペクテーター・オンラインからです。
ハーラン・エステートにいましたアンドリュー・エリクソンがスタグリン・ファミリーに移りました。スタグリンのセリア・マシチェクはパートタイマーのコンサルタントになります。
シャローン・グループのエシュロン・ワイナリーには、ピーチー・キャニオンからトム・ウェストバーグが移ってきます。トムはゼネラル・ワインメーカーでした。エシュロンはグループとしては新しいワイナリーです。(H)
南仏ワインの危機
ボルドーやブルゴーニュといった高級品ばかりがフランス産ではありません。一般にはそういった高級品はイギリス人が消費し、一般のフランス人は水代わりに安いワインを飲んでいると言われてもいます。
ヤフーイギリスのニュースでは、低価格帯のワインを生産しているワインメーカー250人が政府の援助を求めて、5月21日にデモを行ったと伝えています。1000万フランの援助パッケージを求めているとのことです。こういうセグメントのワインはフランス国内においてもチリやアルゼンチン、南ア、オーストラリアといった地域の攻勢が厳しくなり、競争激化がおこっており、ブルゴーニュなどのように価格をあげることもままならないワインメーカーは借金だけが膨らんでいるという状況のようです。さらにフランス人のワイン離れも関係しているようですが。
先週、モンダヴィのプロジェクトが頓挫したというニュースを伝えましたが、この地域にモンダヴィが入ってくれることによって、地域全体の知名度や地位の向上に貢献してくれるのではないかと期待する向きも一部にはあったようです。こちらを立てれば、あちらが立たず・・・。(N)
インドのワイン
ロイターに記事が紹介されていましたが、インドでもワインが生産されています。当然といえば当然でしょうが。
バンガロアはインドの避暑地で比較的涼しく、夏は35度以上にはならず、冬は10度以下にはならない穏やかな気候(日本人にはとても穏やかとは思えませんが)、夜は涼しく、土壌が乾いているという条件がそろっているところで、インドで唯一、フランスのブドウ品種だけを使ってワインを造っているワイナリーがあります。そのGrover’s Vineyardでは、95年からミッシェル・ロランがアドバイザーを務めているという本格的なものです。創業者は元トレーダーで、79年から土壌調査を開始しました。83年からブドウの木を植え、92年に最初のカベルネ・ソーヴィニョンのヴィンテージを出し、現在では120エーカーもの広さを持っています。ワインはカベルネ・ソーヴィニョン、ロゼ2種類、シャンパン、そしてリザーブの5種類、総生産数は30万ボトルです。かなり大規模なワイナリーのようですが、リザーブはなかなかの出来栄えのようです。ミッシェル・ロランの個人的なブラインド・テースティングの際に、ワインスペクテータ−誌の記者がボルドーやスペインと間違えたというエピソードが載っていました。
インドではIT産業の隆盛で外国に旅行に行く人間が増え、ワインに対する需要が高まっていることや、アルコールの輸入数量制限を撤廃したことでワインの輸入量も増加していることが背景にあるといいます。世界中、まだまだワイン未開拓な地が多いわけで、中国やインドといった大国の今後は楽しみです。(N)
イタリアから変わった経歴のベスト・ピノ
4月27日のブルムバーグ・ドット・コムから、知るひとぞしるというワインの話です。
ヴィットリオ・パンクラツィというのはヴェローナの(今では)有名な生産者です。テヌータ・ディ・バニョーロ・カ・デル・ボスコ「ピノ・ネロ」というワインを生産しています。実はこのワイン、偶然の産物、神のいたずら、つまり人の間違いから生産されることになったワインです。それが次々といろいろな賞を受賞しているのですから・・・やはり神のいたずらだ。
この記事によりますと、引用:「1975年、フィレンツェ出身のある人物=パンクラツィが、15世紀のヴィラ・バニョーロというワイナリーを再現しようとしていました。彼は、キャンティを造ろうと思って3000本のサンジョベーゼを地元の苗床に依頼したのです。それで苗床業者は意図してか意図せずか、ピノ・ノワールの苗を送りつけたのです。木は鉄分を含んだ土壌でよく育ちました。ある農学者がその苗がピノ・ノワールであることを見つけ、「ピノ・ノワールはこの地ではうまく育ちません。引き抜きましょう。」と提言しました。しかしパンクラツィはあまりに良く育つ状況を見て、引き抜く理由を見つけることできなかったといいます。結局彼は、キャンティのブレンドに使うことにしました。
1989年、フレスコバルディで働いていたボルドー大学出身のブドウ学者のニコロ・ダフリットが、キャンティとのブレンドにするはずだったピノ・ノワールのことを、「このブドウは失敗などではなく、本当に大地が求めたものだ。」と述べたのです。彼にしてみれば、モンテムルロの土壌と気候はサンジョベーゼには向かないがピノ・ノワールには理想的なものでした。
そこからヴェローナでピノ・ノワールがにわかに注目されるようになり、1994年のワインはワインスペクテーターで90ポイントを獲得、同時に世界のベストピノ・ノワール30に選ばれました。続いて、1995年のフランスでのグランジュリーでは12番目に偉大なピノ・ノワールに選出され、ガンベロ・ロッソのビキエーリにも選出されたのです・・・」引用終わり
ということで失敗と偶然は成功の生みの親。の話でした。(H)