Topics&Columns(2001年3月18日)
ハーディはコカコーラになる!
ハーディというのはオーストラリアでは5本の指に入る巨大ワイン企業です。
要約:
相当な伸びをしている様子で、社長のミラー氏は「表現としてはあまり適切ではないかもしれませんが、ハーディはワイン業界のコカコーラとなることが出来ると思います。この業界には、多国籍企業がないですが、われわれはもっともその立場に近いのです。1992年には9千万ドルの企業価値でしたが、現在では19億ドルです。まだまだ成長しているし、そして株主に対して利益を還元できるのです」と語りました。
ミラー氏は、上記に付け加えて今後も企業買収を続けていくことは可能ですが、株主に対してメリットがある場合のみに行なう。さらには、イギリスのリキュール大手のアライド・ドメックがハーディを買収しようとしているという噂にたいしては否定しました。
先週のハーディの発表によれば、半期の利益は72百万ドル、売上高は、昨年度同時期の20.7%アップの758百万ドルでした。
要約終わり:
企業価値というのは株式数×株価です。この10年間の間では豪州の資本市場は大きく成長してきましたが、その成長の中で、買収を続けることで、自らを大きくしてきた企業体です。注目すべきは、とてつもなく古い業界にあって、とてつもないスピード=わずか10年で、とてつもない企業価値=21倍=1500億円に成長しているという会社です。
この間、小規模の生産者達は、大手企業の資本に参画することにはなりましたが、機器調達のコストは低減し、そして不要なマーケティングコストを軽減することができた一方で、ワインに取っては必要な様々な意味での「ローカルさ」はキープしてきました。つまりワインにとって最も重要な原材料=ブドウ、そしてワインのスタイルを決める要素=経営陣・ワインメーカーなどはそのままにしたのです。それが故に、ワイン生産においての良い意味での分業が進んで、豪州産のワインはそれぞれのブランドごとに品質を高め、消費者の注目度を高め、究極的に会社の価値をも高めることになったのだと、私は分析します。
現在豪州で進んでいる「ワイン業界における企業買収」は、カリフォルニアで70年代から80年代にかけて進んだような、それこそコカコーラや、ほかのリキュール大手、食品メーカーが行い、結局は失敗に終わったような企業買収とは大きく様相が異なっています。
コカコーラは、グローバル企業=「世界中に単一の文化を作り上げる」ことを目的とした企業、一方ハーディが目指すのは「ローカルの独自性をうまく調和させる」というマルチ・ナショナル企業であるべきですよね。(H)
パーカーのボルドー2000年評価
いろいろなところでワインアドヴォケイトの最新号の話題が出ておりました。今回の号はボルドーの2000年の再評価がメインでした。
タイトルは「ショッキングな値段はさておいて、2000年は史上最高の年」でした。
私の印象は「わー、まずいなあ。なんでそんなことをするんやー」でした。「何がまずい?」ですか?いや単に私は買えないというだけの話で、買える人は羨ましいなあ・・・
この号の冒頭でパーカーは2001年の4月に自分自身で作った質問に対して回答していました。質問だけを書いておきますと
回答を書くのは私の役割ではないので書きません。知りたい方は個別にメールをいただくか、あるいはワインアドヴォケイトを購入いただくかをお願いしたいのです・・・
しかし4個目の質問は、「今の値段はあんたのせいやで」といわねばならないでしょうね。ちょっとだけ彼自身の回答と書いておくと「・・・9月11日の出来事、株式市場、一般的な経済状況はどは、ボルドーの値段がこれ以上上がりにくいという十分な理由となるだろう。しかし2000年は記念碑的ヴィンテージで、ボルドー史上最高の年である。今は、私は価格は安定化すると信じる・・・しかし、米国経済が持ち直して、大規模テロがおこらないとすれば2000年物の価格は上がっていくかもしれない・・・」
どうマーケットが反応したかについてはジャスト・ドリンク・ドット・コムの3月11日の記事が紹介しています。「ボルドー・インデックスのギャリー・ブーム氏によれば、3%、4%日々上昇しています」となっています。
ワインアドヴォケイトは、世界中にほぼ同時期に読者の元に届きます。そしてすぐにマーケットが反応する。それがすぐに世界中でわかってしまう。日本ではエノテカのウェブ上でのプリムール販売でも既に2002年春、つまり今回のパーカーポイントが案内されていました。
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今日、ある意味、品質と価格が世界中でわかってしまう、情報が日々最終消費者がつかめてしまう環境があるわけですよね。消費者はいろいろな情報にアクセスしてより安い価格で買える様になってしまった。
価格が上がっていくしかないとしたら、消費者に対して価格転嫁が出来ればそれでよいとしても・・・とくに日本の場合は、このような経済状況では到底望めない状況になっています。これは感覚的に小売を含めた流通関係者にとっては、つらい状況になってきたということがいえるでしょうね。とくにワインの過半数が販売されるというレストランの状況を見てみますと・・・
最近多くの業者さんが「バイ・ザ・グラス」キャンペーン=ワインオーダー単価を下げるということをやっています。これはワインの値段が高くなってきたから、そしてワインが動かなくなってきてストックが減らないのは明らかです。
しかしここに一つ重要なキーがあるとすれば、単価を下げることで、これまであまりワインを飲んでこなかった人々をワインにひきつけることは出来るかもしれません。あるいは、「他のワインも飲めるのであれば、ある程度プレミアムを払っても良い」と思ってお金を投じる最終顧客層を広げることです。つまり母集団を広げる可能性を模索することが必要ですね。
ある業者は、既に「バイ・ザ・グラス・キャンペーン」と称してレストランに対してインセンティブを出しているようです。これはいろいろな意味で、危機意識が高く、先を読むことができた業者さんであろうと思います。レストラン側には「ロスを防ぐためにはボトルで出したい、しかし最近のワインは高いのでなかなかストックが掃けない」という状況がありますが、これを解決するために自らリスクを取って「バイ・ザ・グラス」でワインを販売するというレストランにはインセンティブを出しましょうというものです。これまでにはないこの動きは非常に重要です。それが結局は、少しづつ母集団を広げることに役立つでしょうし、流通全体の落ち込みを防ぐということになるからなのです。
しかしもう一歩突っ込んでみたらどうでしょうね。そのようなセッティングを、自ら作ったらよいかもしれませんね。業者さんが相乗りで、グラスでいっせいに提供できるようなレストランを作ればよいのです。原価に近い価格で卸し、多少通常の価格よりも少し低めの価格設定で顧客の皆さんに提供する、そして他とは全く異なったセッティングとターゲットにすることで、周囲のレストランの皆さんに迷惑がかからないようにするということが出来るのではないでしょうか。さらに様々なワインからを顧客が自分の好みに合ったワインを選択できるようなオペレーションのノウハウを積み重ね、そして儲かったらフランチャイズ展開していくことで、最終消費者への足がかりを確実に作り上げる・・・。
ボルドーのワインが日本のワイン市場の中でダントツの地位を占める事実を前提として、今後ボルドーワインが高価格化していくという仮定にたてば、日本の流通業者は、現在のストックをフロー化するということ、そしてマーケティングコスト、物流コストの効率化をすることを迫られるのは必至です。そうしなければ、仕入れさえも出来なくなるでしょう。そのためには、とくに中小の流通業者は、互いの独自性(多分仕入れのルートだと思いますが)を残しながら協力関係を構築して、流通から販売までの共同のメカニズムを作り上げるか、豪州型の業界再編を行なっていくしか道は残されていないように思えるのです。(H)
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先週の、CIVBはConceil Interprofessionnel du Vin de Bordeauxの略だそうです。フランスのテュンヴァンの篠原様よりご連絡賜りました。いつもいつもありがとうございます!
意見、質問、文句、問題の指摘などありましたらhm@barriqueville.comまでお寄せください。では来週。