Topics&Columns(2002年5月21日)

 

大手を辞めるワインメーカー一人

またベリンジャーから一人のワインメーカーがスピンアウトします。エド・サブレジア氏、25年間の間ベリンジャーに勤めて来ました。最近はプライベートリザーブ・ブランドとナイチンゲール遅摘みデザートワインのプロジェクト監督でした。

ベリンジャーとは円満退社ということのようです。今後はハウウェル・マウンテンからカベルネ、そしてソノマのヒルズバーグに持つ一家の畑からカベルネとジンファンデルを生産する予定とのこと。そしてベリンジャーブラスは新たなワイナリーの立ち上げに協力するそう。

「お互いにメリットがある状況です。ベリンジャーでの勤務は有意義でなかなか離れづらかった。しかしこれからも楽しみだし、家族で何かやりたいと思っていたしね」とはサブレジア氏。

これは5月11日ワイン・スペクテーターからでした。深読みしすぎかもしれませんが、つまりはリストラ?ウルフ・ブラスがベリンジャーを買収してから数名が去ったような気がします。(H)

 

完全市場性高まるワイン〜2001年ボルドーから

イギリスのマーチャントは2001年の先物価格にはまだまだ不満があるようです。

要約:
レイ&ウィーラーのバイヤーであるデヴィッド・ロバートMWは(MWというのはマスター・オブ・ワイン)「2001年ものは既に数的には減って、かつまあまあの年であるとはしつつも、売るのは非常に難しい。昨年度の40〜50%程度しか販売できないだろう」としています。

100を超えるワイナリーは既に、2001年の先物価格は1995、96ないし1999年程度の価格に落ち着くだろうという内容の判断を発表しています。多くの関係者にとっては2000年物と比較すると10%程度下回るという事です。ロバート氏は「2000年ワインというのは、前年に比較してゼロ〜90%も価格が上がったのだ、2000年物を比較の対象として価格を決めるべきではない」と述べています。

グリュオーラローズは2000年物で10%価格を上げましたが、2001年物はそこから20%価格を下げるとしています。しかし予想される売値(195ポンド〜225ポンド/ケース程度)のことを考えると、10%程度しかマーチャントの手元に残らないことになって、それではいかにいっても売るのはむずかしいと判断されるのです。

キノール・レンクロは10%ほど価格を上げる予定です。昨年は上げませんでした。というのはワインアドヴォケートで92-94というポイントが発表されたからです。パーカーはアレン・レイノー、ジェラール・ペルスが所有するワイナリーにはまあまあのポイントをつけています。

グリュオーラローズにしてもキノール・レンクロにしても、ジャンシスなどの他の評論家には、今ひとつの評価の中で、その他のワイナリーがどのように続くかは見てみたいところ。
要約終わり:

ロバート氏が言いたいのは2000年物と比較して10%しか違わないと言うのは、つまりは2000年物をベースと考えているからであって、そこをスタートポイントとすると10%下げたと言うことになるかもしれないが、品質的にはそこをスタートポイントとすべきではない。よって単純にいえば高すぎると言うことです。ひと月前あたりには1997年との比較論が出てましたからね。(H)

 

EU、アメリカの新法案に噛み付く

まあそうでしょう。以前オーストラリア政府も噛み付いたというトピックを掲載しましたが・・・。

要約:
アメリカ政府は農業セクターに対して、今後10年間にわたって735億ドルもの支出を考えています。農業従事者に対して補助金を出すというなどの内容になっています。

「明らかに落第点だ。アメリカの政策に対する信頼を完璧になくす。生産量は上がるが、価格が下がる。暗に輸出補助金を出し、かつ輸入品を締め出すといっているのと同じだ」とEUの農務委員会委員長のフランツ・フィッシャー氏が歯に衣着せぬ発言をしています。

「どの先進国も貿易や生産をサポートするためのサポートを行うということをやめつつあるのに、今回アメリカは全く逆の方向に向かって走り出している。WTOでの市場の自由化への取り組み姿勢を疑う」

これまでもアメリカとEUは農業補助金に対しては激しいやり取りを繰りかえしてきています。これまではアメリカ側がEUは全体で年間410億ドルの予算を持っていると非難して来ました。

新法案の内容は、1996年に廃止されたターゲット価格制度を再導入し、下限なしの価格保証をするとともに、生産量が下がっても同じ利益率を保証するというものです。EUのシステムも同様ですが、EU側は「方向は全く逆にすすんでいる」と主張しています。
要約終わり:

アメリカが保護主義政策に向かっているのは明らかですね。鉄鋼輸入製品への100%関税。われわれの近いところで、カリフォルニアで検討中の輸入ワインへの関税−これには良識ある生産者自らが反対しています−など。

関税だの補助金については消費者の観点が全く欠落している。ない方が消費者にはメリットがある。さらにそれに補助金を出すと生産者の国際競争力が弱くなるのです。どうしてやるのか?景気が悪いときの政権の支持基盤強化のために行われるのです。まさに国際経済学の講義を地でいっているような現象です。

世の常として生産者は団結するけれども、消費側は団結しない。つまり政治団体を動かしてどうのこうのということにならない。共有できる価値観のサイズが違うからです。生産者は、競合他社をビートするというところだけしか、方向がみだれるところはないので、政治に利用されやすいのです。(H)

 

オーストラリア2002年のヴィンテージ

オーストラリアのワイン・アンド・ブランディ協会が5月14日に発表したところによると、2002年は非常によい出来だったそうです。

要約:

全体の生産量は152万トンで、2001年に比べると7%アップでした。内陸部でブドウの収穫量が15%アップした一方で、より涼しい南の地方では5%減という結果で、より品質の高いワインが期待できるとのこと。2001年は赤ワインの年でしたが、2002年は赤、白どちらもいい年でした。夏がさほど暑くなかったせいで、果実が熟すのがゆっくりで、実は小さく、フレーバーと色の強いワインとなりました。

しかし内陸部で生産量が増したことによって、一部に買い手主導型の値下げが競争が悪化、約50000トンのブドウが売れ残った状態となっています。この量はオーストラリア全体の3%にあたると推測されます。

詳しい内訳・内容については6月にオーストラリア・ワインメーカーズ・フェレデーションから発表になります。

要約終わり:

ご意見、ご質問、苦情、問題の指摘などありましたらhm@barriqueville.comまでお寄せください。では来週。