Topics&Columns(2004年2月16日)
剪定技術を極める
一つのワインは、食卓に提供されるまでには多くの人の手を経てきます。ワイン生産国としての私たち国民の認知が低いためかどうかはわかりませんが、とかく日本では、食卓での華やかな場面を演出するソムリエばかりが注目を浴びますよね。しかしワインの生産、流通にかかわる多くの人々は、実際にはワインを楽しむ人の目に触れることのないままなのです。そこにも光を当てようという試みは、実はずっとカリフォルニアで行われてきています。
要約:
今年のナパ剪定コンテストの優勝者はアンギベルト・ペレス氏だった。コピアで選出されるワインメーカー・オブ・ザ・イヤーのような脚光は決して浴びる事はないが、それでも誇れる人物だ。
枝(業界ではケインという)の剪定を完全にマスターするには何年もかかる。2月4日、Napa Valley Grape Growers Associationが主催する第3回目にあたる剪定コンテストは、ベリンジャーブラスのギャンブル・ランチで行われた。
コンテストのジャッジであり畑コンサルタントのザク・バーコウィッツ氏は「剪定作業というのはわれわれの作業の中で最も重要でともなりえる。というのも剪定のやり方の違いで果実の実り方、つき方が違ってくるわけですからね」という。約4時間かかるコンテストのほとんどは判定作業に費やされる。剪定の細かなところまで見るからだ。「厳しい判定をするジャッジもいるし、その逆もいるが、全員剪定の質が重要だということはわかってますよ」とバーコウィッツ氏。
コンテスト参加者は、7本のシャルドネの剪定作業を行い、そのスピードと作業品質の高さを競う。そして複雑な剪定に対してはプラスポイントが加算される。参加者は25名で、それぞれの畑での中で優秀だと認められて選ばれた者ばかりだから、熾烈である。
ジャッジのアーマンド・セハ氏によると「平均の剪定スピードは、1分15秒程度、ボクサーのタイトル争いのようにアドレナリンがほとばしるのがわかります」という。トップ5が決戦を争う昼食の頃には、誰かが「ゴー」と叫ぶと、先頭の剪定者達がバランスをくずす、と思いきや、毎秒数え切れない枝がカットされ、怒涛のような速さでトレリスからはがしていくという様相であった。
ジャッジはレイク・カウンティでの地域大会、そしてソノマで行われる最終戦を勝ち抜ける勝者と、準勝者を選ぶために30分間念入りに調べた。ジャッジたちは、会場の前方に集まって、優勝者を伝えた。その名こそは、パインリッジのペレスであった。準優勝者はハドソン・ヴィニヤードのジーザス・アギラーと発表された。優秀者の中には、昨年2位のデヴィッド・ペレスの名もあった。こちらもハドソン・ヴィニヤード勤務である。賞金は優勝者が600ドル、2位350ドル、3、4位が125ドルである。
ハドソン・ヴィニヤードのオーナーのリー・ハドソン氏によれば、畑で始めたトレーニングと試験制度と、インセンティブ−賞金と同額のボーナスを支払う−によって質が向上してきたのだという。
組織委員会のジェニファー・コップ氏によると「コンテストの第一の目的は、畑作業員たちに栄誉を与えることなのです。一般的にはあまりそうは考えられていないですが、ワインの品質を高めるためには欠かせない技術を持っているのですから」
要約終わり:
一見通常に行われることも「ことさら取り上げる」ということでその意味の理解が自他共に深まる〜評価が高まる〜そして技術が向上する〜全体に波及・・・。新しい生産地はこのようにして自らの能力を高めていく努力を重ねるのですね。すばらしいですね。2月5日付けナパ・ニューズからでした。(H)
クリスタルクルーズ:ワイン&フードフェスティバル
クリスタル・クルーズとは、現在世界で最も賞賛されるクルーズ会社の一つ。クリスタル・ハーモニー、クリスタル・シンフォニーなどのクルーズを保有し、Conde Nast Travelerでは読者がえらぶ“Best Large-Ship Cruise Line”に8年間連続で選ばれています。これはそのプレス・リリースから。
要約:
クリスタル・クルーズでは第8回ワイン&フードフェスティバルを行います。2004年中に、著名なシェフと、著名なワイン専門家を招いたハーモニー、シンフォニー、そしてセレニティの16回のクルーズを行うというものです。
招待される人々は次の通り。料理の世界では・・・
Master Chef Anton Mosimann(London、Chateau Mosimann- Nancy Silverton(Campanile)
Randy Lewis(Popina)
Mark Sullivan(The Village Pub)
Mark Gregory (One Aldwych Hotel)
Darryl Fujita(Orchid Restaurant)
Andrea Manzon(Florence、Hotel Regency)
Andre Soltner(NY、Lutece)
Sam Choy(Hawaii、Diamond Head)
ワイン関係では・・・
John Clevely, MW(元 Veuve Cliquot U.K. MD)
David Stevens(初代MW会長)
Andrea Fulton(Justin Winery)
Robin Kelly O'Conner(U.S. Bordeaux Wine Bureau)
Leslie Sbrocco(Wine journalist)
クリスタルの料飲部長のToni Neumeister氏いわく「クリスタルは世界中の食とワインのリーダーを迎えることができて非常に光栄です。毎年毎年期待は高まっているというのが感じ取れます。お客様ばかりでなく調理場の奥からも、新たなスタイルや技法を学べる機会でもありますし。無論トレンドの最先端でもありますからね」
クルーズの最中、ゲストはそれぞれのクルーズが立ち寄る先々のフレッシュな材料を使ってシェフが調理する4コースのディナーを楽しみます。日中はシェフが調理方法のデモを行ったり、レシピを披露したりしますし、それについての質疑応答があります。加えてワインについては、その歴史について学び、生産地や、品種、さらには、テイスティングや、ペアリングなどワインを楽しむ方法をゲストが教授したりします。
クリスタルの料理へのこだわりは様々なところに現われています。ノブ・マツシタはスシ・バーで、そしてシルクロードレストランでその伝説の料理を披露していますし、サンタモニカのウォルフガング・パックは、ジェイド・ガーデンでその料理が味わえます。
クリスタル・クルーズの予約は旅行代理店でどうぞ。http://www.crystalcruises.comへもお越しください。
要約おわり:
この16回のクルーズは短ければ10間、長いものでも29日のものらしいですので「食には興味がある、ちょっと金を使って豪勢な刺激のある食事をたらふく・・・」という方にはもってこいでしょう。なお旅費の中にはチップ代も忘れずに。わたしもいつかは乗ってみたいですね。ちなみにクリスタル・クルーズ社、USの会社ですが、日本郵船の子会社。すばらしく成功しているのです。(H)
イタリアン・スキャンダル
2月4日づけハーパーオンラインから。
要約:
パレルモのL’Ispettorato Centrale Repressione Frodi (ICRF=詐欺取締中央警察)は、市郊外のある事務所を奇襲し、59,960ヘクトリットルのシシリア産IGTピノ・グリージョとピノ・ビアンコの船荷書類を押収した。
この書類によれば、荷物はヴェネト地方へ搬送されたもので、ICRFは、これがDOCピノ・グリージョに名を変えて売買される予定であったものであろうと関連付けた。
オーストリア国境のウディーネで、ICRFがトルメッツォ検察との協力で、2003年11月に、2000ヘクトリットル、時価にして381,420ユーロのDOCPinot Grigio delle Venezieを押収した事件があった。このとき、ワインと一緒に押収した書類の中では、架空の会社名が使われていたために、偽のピノ・グリージョがどこから運ばれてきたものかわからなかった。シシリアの事件はこの事件と関連していると見られる。
1月12日には、農林省のジアンニ・アレマンノ相は、生産者と消費者を保護するため、ボトルのラベルと中身が一致するようコントロールを強化することを約束したばかりである。
要約終わり:
この事件そのものは実はあまり新しくもないのですが、シシリア発というところと、「架空の会社」を使ったワイン詐欺というところが、なんともイタリアン・マフィアと禁酒法時代が蘇ったようなそんな時代大錯誤的事件ということでご紹介しました。未だにイタリアのDOCは全く当てにならない制度です。
各国が国内の詐欺を防止できるようにならないと、国際詐欺を防ぐのは困難かと思われますね。別の記事に、中国と台湾でカナダのアイスワインのニセモノが現われたために、あるワイナリーの収入が減少、かつワインの評判が落ちたという記事がありました。ワインがどこかで儲かる仕組みがあるので、それを逆手にとって詐欺を行うということですが、アジアが高価なワインを飲むようになると、こういう事件は頻発するようになるのでしょうね。インドも飲み始めたようですよ。(H)
インドにワインを売りこめ!
要約:
2003年、インドでのワイン消費量は3.5百万ボトルだった。イタリア、フランスに比較するとほんの一滴に過ぎないが、それでも年率20%で消費量が伸びている。そしてインドの地元の生産者は「既に生産地としてアトラスに載っている」ともいう。事実今や、フランス、イタリアにも輸出しているのである。
4000あるボンベイのバーで、今何が飲まれるのかといえば、ワインなのである。インドの大都市では、シャルドネかボルドーのグラスワインで乾杯を行うことがファッショナブルである。
ボンベイの流行のレストラン「インディゴ」では、ハードリカーよりもワインの方がよく売れているが、オーナーのラフル・アカーカー氏は、ワインに対する新たな恋心は多分にワインが健康に良いことから来ているという。「アルコール度数は10%ちょっとなので、ハイクラスのビジネスマンにえらく評価が高いですよ」とのことだ。
消費者がワインを嗜好するようになってきたため、バーやワイナリーはワイン教室の運営も開始している。また食事とのマッチングのトレーニングなども行っている。
成長のスピードは中国も同じかもしれないが、違いはインド人は自国産のワインを飲んでいるということだ。販売量のおよそ20%がフランス、イタリア、南ア、オーストラリアからの輸入品である。フランスワインは高いので、消費者の中心は主に欧米で学業経験のある人々にとどまっているようである。
国内産のワインのリーダーは、インディア、スーラ、グローヴァー、インデイジの4つのワイナリーだ。
スーラ・ヴィニヤードのラジブ・サマント氏は、ワインビジネスをインドで最初に始めた人物であるが、彼によれば、「6年前に始めたけど、毎年100%の生産量アップですよ」という。2003年には500,000ボトルを生産した。こういうサマント氏は、かつてはカリフォルニアのシリコン・バレーでエンジニアをやっていた経験がある。今や、「フランス、イタリア、カリフォルニアのインディアン・レストランだけでなく、他のレストランでも採用されてますよ」と誇り高く語り、インド最大のワイナリーとなろうとしているのである。
現在、需要が供給をかなり上回っているので、まだまだ市場余力がある。既に海外メーカーは進出を考えているようであるし、インドメーカーは生産力を最大化しようとしている。スーラ社も新たなワイナリーの建設を行って、生産量を3倍とする。
今後5年間で年率30%でワイン消費の伸びが予測されている。まだまだ二日酔いには程遠いようだ。3年前にはワイン消費量は、ティー・スプーンの半分ほどだったのだから。
要約終わり:
わおー。すごいですね。2月4日のBBCからでした。片方で「ワインが余った」といえばこちらは「ワインをもっと」という状況というのはあるのですね。
別の記事で、新たなグローバル・ワイン投資銀行、グローバル・ワイン・パートナーズLLCという会社が結成されるというニュースもありました。この会社のCEOは「ワイン業界は、一般経済の2倍のスピードで成長を続けているから今設立したのです」とコメントしていました。
わおー。すごいですねドと中国だけで、世界中のワインを飲みつくす事は可能でしょうね。(H)
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