Topics&Columns(2004年2月16日)

 

南アの偽ワインはどうなった?

昨年11月に伝えた南アのソーヴィニョン・ブランには化学品が添加されているのではないかという疑いがあるという記事の続編です。2月13日ビジネスデイからです。

要約:
ケープタウンのワイン&スピリッツ委員会は、抜き打ち調査を実施中である。ソーヴィニョン・ブランのピーマンとかハーブのフレーバーを強化するために使われた化学品を探すためである。さる11月にワインエキスパートのMichael Fridjhon氏によって、そういった噂があるとして大騒ぎに続くものである。

この苦情は、極めて競争状況の激しい、そして南ア産ワインの輸出市場の50%以上を占めるイギリスで直ちに取り上げられた。ガーディアン誌は、化学分析会社であるコークワイズ社は英国大手の小売から南ア産とニュージーランド産のソーヴィニョン・ブランのテストを依頼されたということを報じた。合成ピラジンがフレーバー付けに使われたかどうかを確認するためである。コークワイズ社は、どのワインをテストしているかということをについての言及は避けた。

同社部長のジェフ・テイラー氏はガーディアンに対して南ア産ワインについては、全価格帯のワインにおいて異常に高いレベルが検知されたのに対し、ニュージーランド産ワインについては、異常はみられなかったという。しかしながらピラジンがワインメーカーによって添加された事を証明する事は困難である。自然に起こることでもあり、ある箇所が他の箇所より高いピラジンを生成することもありえる。

Fridjhon氏は、ワイン&スピリッツ委員会が、みずから検査を行い、そして高レベルのピラジンを使用したということが判明したワインメーカー達の名を公開しないのは到底受け入れられないと述べる。「テストを行っていると言いながら、テストに基づいて起訴する事は出来ないといい、さらに基準に従わなかったワイナリーの名を言えないなど、世間を馬鹿にしている」と述べた。

委員会長のJakob Deist氏は、「テストは完了した。疑わしいと思われる生産者はわずかにあった。しかしこの不十分な結果に基づいて、起訴する事は出来ない。しっかりとした証拠があがるまで、名を公開しない」と述べ、疑わしかった生産者が小規模なものか大手であるかも述べていない。
要約終わり:

ピラジンは、麦やコーヒーを焙煎するときに生成されますし、またピーマンのワタと種に含まれていてピーマンの香りを特徴付けますし、納豆のにおい成分の一部としても知られています。つまり例の、血液さらさらをもたらす香味成分として知られています。天然で生成するものです。そういった香りをもつ合成ピラジンをワインに添加しているということであれば、皆さんの想像に難くないでしょう。早く解決しなければ、南アワインの市場全体へ影響しますね。(H)

ニューヨークへ州へのワイン直販は・・・

2月13日付けニューズデイ・ドット・コムからちょっと時代錯誤的な話です。以前より、アメリカでは、酒類について他州からの直接販売については禁止している州が多い事をお伝えしてきました。そしてそれがネットショップ、あるいは直販体制が繁栄することを阻害する要因になっています。私の知人の米国ネットショップ社長は、”Free the Grapes”という、州間直接取引きを訴える消費者団体の理事をやっているぐらいです。はてさて、本日はNYでの法規制の動向についてですよ。

要約:
2月12日NY州裁判所法廷は、NY州が州間取引を禁止しているのは違憲である、とした地裁の判決を覆した。NY州が州間販売を禁止しているのは、アルコール飲料の販売については州が規定できると定めた、憲法第21修正条項に基づくものであるとした。

リチャード・ウェスリー判事の意見書によれば「・・・NYの条例では、NY内外を問わず、免許を受けたワイナリーが、ワイン愛好家に対して直接アクセスできることを容認している。この免許は、アルコールの持ち込み、輸送をコントロールすることによって、州内の正当なる利益を目的として、非差別的に与えられる。」というものであった。

本件は、ヴァージニアとカリフォルニア州の小規模ワイナリー、それとNYの消費者を受益者としたInstitute of Justiceという公益保護専門の法律事務所が原告となり、最高裁判所に控訴することになっている。

同法律事務所は、NY州法は憲法上の通商条項違反であり、NY州内のワイナリーに対して、州内消費者に対して直接販売できるという、違憲となる便宜を与えているとして反論している。

ミシガン州、ノースカロライナ州、テキサス州、フロリダ州の各州で、州間直接取引を禁止する州法を改める判決が出ており、今後最高裁での判断を仰ぐことになろう。
要約終わり:

ということで、アメリカは面白い状況になってきましたね。狭い日本では県境がどうのこうのということはありませんが、この問題、実は流通形態の話です。中抜きにしたい生産者と消費者、中抜きにされては困る問屋との戦いです。そう考えると日本でも同じような事はあります。結局こういう議論が出てくるのは、要は中間の付加価値が問われているということなのだと思います。効率とか合理性を超えて、直販体制にない、リアルなぬくもりが感じられる演出・・・あると思うのですがいかがでしょうか。(H)

 

2003年には気をつけろbyムエックス

2月11日づけハーパーオンラインから。

要約:
2003年のボルドーワインには「すばらしいものと、完全に焼け切って味わいのない非常に失望させられるものとがある」。3月の先物テイスティングはタンニンによって余り信頼できないテストになるだろうと述べるのは、クリスチャン・ムエックス氏だ。先週のマスター・オブ・ワインのペトリュステイスティングの席で述べた。

ムエックス氏は、「すでに1000のワインをテストした。この段階でのテストとしては珍しいことだが、品質があまりにばらついているからだ。かなり難しいヴィンテージだったため、大失敗作のワインが中にはある」という。

通常は小収穫と手のかかる栽培手法の支持者であるのだが、「皮肉なことに、手をかければかけるほど痛い目を見ることになった。」そして水のストレスというよりも、日焼けによるものであるとしながら「葉をもぎ取られた東側の列は、午前10時までにすでに痛んでしまっていた。」

タンニンについては異常に高いレベルだったので、その過剰抽出を行った場合、大きなリスクがあるとする。ペトリュスの最近の造りは少ない歩留まりでも、より丁寧で、よりソフトな抽出を行うことだとしながら、冗談交じりに「ペトリュスの色は赤です。多分ボルドー最後の赤ワインですよ。2003年は技術ではなくてデリケートさでもってアプローチすべきだったのです。そんな中ですばらしいワインだと思ったワインでは、樽発酵の時間が非常に短かった。11日間とかでした、ペトリュスでは13から17日つけ込みました。」と述べた。

そのタンニンのレベルとは、偉大で、そしてリッチなタンニンをもった1986年のムートン以上に多いと述べた。「どういうことになるかわかりませんね。疲れますよ。タンニンが多すぎて味わうことなど出来ませんよ。逆にエレガントなワインを簡単に見誤ってしまうことでしょう。」

加えてこの早い時期にテイスティングをすることの無意味さを強調した。「例えば1961年のペトリュスは、ベストワインの一つですが、発酵そのものが1962年の春まで終わらず、マロラクティック発酵は夏前までかかったのですよ。3月の今頃などそれこそ大失敗だと言ったかも知れませんよ。それに、大部分のワインは今の時期プレスワインをまだ加えていないのですから」と。

今のこの早い時期にワインを見せたいという衝動に駆られないのかという質問に対しては、悲しげに「わたしはマーチャントでもありますからね。市場が望んでいるということをやるということです。」と語った。
要約終わり:

いつものことながら、歯に衣着せぬ言い方は、ムエックスらしいですね。相反する立場にいながら、ある意味パーカーに相通じるものがあるのです。オピニオンリーダーならではということでしょう。2003年ボルドー、3月のレビューが楽しみですね。ときに、ムエックスの発言を深読みしていろいろ想像するのも面白いですよ。1961の最終キュベはどうしたのかとか、2003年のペトリュスは逆にやさしすぎるのだろうかとかね。それは勝手に想像して楽しむものですね・・・。(H)


フォアグラが消える?

昨年、フォアグラ業者やシェフが襲われたというニュースを流しましたが、だんだん本格的になってきました。

要約:
民主党サンフランシスコ出身のジョン・バートン氏が、カリフォルニア州内でフォア・グラの生産と販売を禁止するという法案を議会に提出しました。

フォアグラを生産するためにガチョウの喉首に無理やりパイプを突っ込み、無理やり食べ物を食べさせるというやり方に対して、動物保護の見地から反対するというものです。無論、動物保護団体が強行に反対している事を受けて、バートン氏が法案提出したものです。フォアグラの生産は、EUでも禁止する国々が増えており、既にニューヨークでも同じ法案が提出されました。

仮にカリフォルニアで法案が通過する場合、カリフォルニアの唯一のフォアグラ生産者であるソノマ・フォア・グラは事業停止になります。NYでも法案が通過する場合、アメリカでのフォアグラ生産者はいなくなります。

2003年の夏には、ソノマのスペシャリティ・ショップで、破壊行為をうけ、その経営者に自宅の入り口が悪さされ、さらにはその家族が戸外で行動する様子を写したビデオテープが、メッセージと一緒に送られるという事件がおきました。そのメッセージには「やめろ、さもないとやめさせる」と書いてあり、関係者を震撼させました。

フォアグラ関係者は、「自由市場に対する攻撃」、「バートンは陰謀をたくらむ連中に加担している」「なぜキャビアならいいのだ」「どうしてラムを食うのか」という反発しています。
要約終わり:

この内容はいくつかのソースで報じていたものですが、シュワルツネガー州知事は、ノーコメントのようです。鳥インフルエンザ、BSEのような病気もさることながら、こういった破壊行為まで出てきて食文化を脅かすんですね。遺伝子組み換え問題もありますしね。NHKでは「途上国にも肥満の問題」という特集をやってますね。「人間は自給自足の古代に戻れ」という神様の啓示?

いやいやありましたよ。マイクロビオティクスが。最近大阪のホテルシェフが積極的に取り組んでいますので、所謂健康料理から一歩抜け出すのではないでしょうか。この系の調理方法だと安全で健康にも良いということでしょう。あとはワインとのマリアージュですね。(H)

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質問、意見、苦情などはhm@barriqueville.comまでお願いします。毎週木曜日の夜、渋谷のデックファイブにおりますので、ご用の方はお声掛けください。(H)