Topics & Columns(2004年7月19日)

カベルネをソレラで仕込む 


やろうとしている本人たちは世界で最もへんてこなワインということはあまり気がついていないようです。セントヘレナ・ニュースから。

【要約】
「アバカス(=そろばん)」と呼ばれるワインは、この35年の歴史を持つワイナリーをアメリカのワイン文化一ページに、必ず残すことになるだろう。

アバカスは、100%カベルネであり、1992年までさかのぼるベストのワインばかりを集めて造られる。これまで6回のボトリングがおこなれている。価格はリリース価格で325ドルであった。

このワインはスペインのシェリー、ポート、あるいはイタリアのバルサミコと同じようにソレラシステムに似せて造られたものである。

「頂点に立つ製品を造ろうと思ったんだ。みんなが追い求めるものをってね」と語るのは、ZDワイナリーのCEOのロバート・デ・ルース氏である。「熟成したワインに失望する人も少なくないみたいだしね。」

ということで、社長で弟のブレットとワインメーカーのクリス・ピサーニ氏と一緒に、1999年に400ケースのアバカスを造った。以来、毎年リザーブ・カベルネの15%〜25%をアバカスの生産に向けてきた。

デ・ルース兄弟は、古めのカベルネを味わったときに、熟成したワインだけが放つ艶めいたものがあるがしかし果実味はなくなると判断したのである。そしてそれはすでに製品の価値を持っていないと考えたのである。そこで彼らはソレラ・システムを考え付いたというわけである。

で、結果は・・・二分した。凹凸、古いものと新しいもの・・・意外な複雑さを持っていた。香りは、フレッシュで若いワインを思い起こさせつつも、スモーク、スパイス、黒果実の香りが層をなす。ワインはパワーをもち、同時にフィネスを持つ。早い話、美味しく、知的でチャレンジングなワインである。15年から20年は熟成するワインである。
【要約終わり】

ここではソレラ・システムは説明しませんが、あってもいいかなという感じはします。美味ければいいのだろうという流れですからね。ただし高いのはダメ。(H)

ブルゴーニュは反対
(AOC改革) 


AOC改革について、さまざまな議論がなされているようです。わたしはいいことだと思います。

日本のプロ野球についての議論と非常に似ています。プロ野球は、今まで改革らしい改革を何もしてこなかったわけです。この一週間は「ファンがついてこない」という事でもって、1リーグ制を急がないことにした。という流れらしいですが、球団を会社が持っている限り、会社へなんらかの貢献があるということが大前提ではないでしょうか。さてフランスワインは変わるのか・・・

【要約】
ブルゴーニュの生産者団体は、INAOのルネ・ルノー会長が提案したAOC改革案に反対する意向をしめした。

ルノー氏は、INAOに対してAOCEとSTE(過去のバリックヴィルを参照のこと)という改革案を提案した。その中で、ルノー氏は生産過剰と新世界ワインからの競争激化により「フランスのブドウ畑のいくつかは消滅するであろう」ということを述べた。そしてブルゴーニュのワインも「近代的なブランド日常品」か「その中の頂点」かに属することになろうとしている。

ルノー氏は、さらに国際市場にアピールするように、地域名AOCワインにブドウ品種名を表記することを支持している。

この動きに対しての組合側の動きは否定的である。いくつもの層が加わり、複雑になって官僚的になることで、自分たちの売上が失われると反論している。「売り物をシンプルにしたいと思っているにもかかわらず、複雑になる一方ですよ。」とマコンの生産者を代表するジャン・ミッシェル・オービヌル氏が述べる。STEが加わることでお隣さん同士の競争が激化することもあるとしている。コート・ドールの生産者たちは、計画の早急さと品質検査の方法について心配している。「コントロールするためのコントロールが多すぎる」とユニオン・ジェネラル・デ・シンディカのダミオン・ガショ氏が述べる。

BIVB(Bureau Interprofessionnel du Vin de Bourgogne、ブルゴーニュ生産者組合)のメンバーは、この夏に賛否を検討するという。ルノー氏は、2005年初頭をデッドラインとして、改善案や実施案の提案を受け入れることになっている。BIVB会長のジャン・フランソワ・ドモールム氏は、「改革に反対しているのではないのです。疑念を抱いているのです。今日のマーケットに答えるために何かしなければならないということは生産者たちはわかってますよ。ルネ・ルノー氏のメッセージはちゃんと届いてます。われわれは新たな戦略とヴィジョンを持たねばならないということはね。」
【要約終わり】

フランスワインを飲んでくれてのAOC。日本にいてはわかりませんが、イギリスではスーパーで扱うワインのトップ10ブランドのリストから外れてしまったのです。改革を急ぎすぎることはないでしょうね。沈没する船にしがみつくというのはどう考えても得策ではない。

どこの生産者もそうなのですが、ワインがここまでグローバルに流通するようになってきている今、身の回りだけ考えていればいいというものではないです、とわたしは国内の生産者に向かって言いたい。また機会を改めて取り上げます。(H)

 

US&豪州の自由貿易?! 


ワインのことは考えてないので・・・。

【要約】
下院は、アメリカとオーストラリアとの自由貿易を可決した。圧倒的な民主党の賛成により314対109で可決された。1989年に通過したアメリカとカナダ以来の二国間自由貿易協定となる。
【要約終わり】

本当に簡単な要約だけですが、工業界からは、わりに賛成の声、農業界、医薬界からは反対の声が多いようです。ワイン?少なくとも西海岸は反対でしょう。

民主党の支持で可決ということではありますが、ブッシュとハワード(オーストラリア首相)の関係は、ブッシュと小泉の関係以上であるということはあまり日本では知られてないんでしょうねぇ。しかし、ブッシュさんがサインをすれば確かに画期的な協定だと思います。最近のアメリカはかなり保守主義でしたからね。あまりワインとは関係ありませんでした。(H)

グラスワインは、顧客も喜び、
売上も伸びる!(3) 

グラスワインやらんかい!


バリックヴィルのオリジナルです。6月4日付、雑誌「週間ホテレス」に掲載したものを構成しなおしたものです。消費者向けというよりも、レストラン向、プロ向けですが、このサイトの読者はプロも多いのでここに掲載しました。本日は予定外の第3回目となりました。

【本文】

グラスワインで利益を上げる方法

グラス販売を行えば、グラスプレミアムと販売量のアップによって売上が伸びる可能性はかなり高いことはご理解いただけたと思うが、利益が伸びるか否かに関しては、グラスワイン販売を行う店舗が全てそうとは限らないロスがあるからである。だから、グラスワイン販売を行うには、次の条件があった。

<1>回転が早いワインであること

<2>リスクが小さい、安価なワインであること

結果として、店舗で提供されるグラスワインは、「安かろう悪かろう」のワインがほとんどとなってしまったのである。「とりあえずリストに載せている」程度の内容でしかない。したがって、顧客はグラスワインに対しては「グラスで飲みたいが、やめておく」、あるいは「他に飲みたいものがないので飲む」という後ろ向きの判断をしているのが実情である。ではどうすればよいのか?

次の条件がクリアできれば高価なワインを提供できることになる。

<3>高いものを出す場合は、費用は顧客に転嫁できること

2004年3月にオープンしたホテル・オークラ内のバロン・オークラなどは、ロマネ・コンティをグラスで提供している。また、エノテカ・ピンキオリなどでも、希望があればリストの中のワインをグラスで提供する。しかしこれらの店舗では、当然の事ながら、提供するための費用は顧客が支払う代金に跳ね返ってくる。すなわち、「余計にお金を払える」ことにステイタスを感じる一部の限定された顧客のみを相手にしているので、例外的なレストランである。

では他にやり方はあるのか?――次が達成できればよいのである。

<4>ワインを酸化させないこと

ワインが酸化しなければ、空けたボトルをすべて使い切ることができる。グラスプレミアムは、ワインの10%〜30%はムダになってしまうということを前提にしていたが、これがすべて利益になって戻ってくるとすれば理想的な話だ。では、どうやって行うのか?

ワインを酸化させない道具はこれまで何種類か登場している。良くご存知の「バキュバン」を含めて現在に至るまで次のようなタイプの商品が存在する。

1) 空気吸出し型

2) 空気置換型

3) 業務用ディスペンサー付き空気置換型

商品名を言うと、そして誤解を恐れないでさまざまな観点で分析すると次のようになる。

タイプ

製品名

価格

保守

消耗品

抜栓
雰囲気

抗酸化処理
までの時間

ワインの抽出

対象

1)

バキュバン

安価

不要

不要

大気下

任意

ボトルを持って  

無制限 

2)

プライベート
 プリザーブ

安価

不要

不要

大気下

任意

ボトルを持って  

無制限 

3)

クルヴィネット/
エノマテック

中〜高

洗浄

窒素ボンベ
/チューブ

大気下

短時間

ガス圧力抽出

業務用 

3)

ワイノット

高価

洗浄

プラスチック
のプラグ 

窒素下

なし

重力抽出

業務用 

もちろん酸化のレベル、操作性、価格はそれぞれ異なり、使用場所や用途によって使い分けることになるだろう。手前味噌で恐縮だが、筆者の会社が製造を行うワイノットはコルクを抜くときから工夫をし、全く大気に触れないために酸化をほぼ完璧な形で防ぐことができる。しかし、他の器具を使ったとしても、多少なりともワインの寿命を延ばしながら積極的なBTGを行うことで、売上と利益を伸ばすことは、どのレストランにとっても可能なのである。
【本文終わり】

以上はホテレスの内容の焼き直しですが、ここはわたしの個人のサイトですのでもっと書きましょう。

3)の最初のクルヴィネットなどは15年ほど前に流行ったものです。日本の大手のホテルも導入しました。そして基本機能をそのままにして、抽出部分、経理面へのコネクション、プレゼン面において自動化を極めたものがイタリアのエノマチックです。そしてワイノットは、自動化はしていませんが、基本性能を極めたものです。

エノマチックは使ったことがないのでなんともいえませんが、ワイノットについては基本性能を極めたためにできることがあります。それはウルトラ・プレミアムワインのグラス売りです。シャトーマルゴー、オーパスワン、DRC、プロヴィダンス、グランジ、ソライア・・・この話はこの辺で終わります。(H)

ご意見、質問、要望、苦情は、hm@barriqueville.comまで。