カッパドキア・ワイン―銘醸地ブルゴーニュ誕生秘話
|
出版社 |
彩流社 |
|
出版日 |
2008年3月 |
|
著者 |
薗田 嘉寛 |
|
定価 |
2,000円(税別) |
時代は十字軍の時代の1200年代を舞台に、ブルゴーニュにトルコ(カッパドキア)からブドウの樹を持ち帰る騎士たちを物語。第18回「日本ファンタジーノベル大賞」(2006年)最終候補作品。
史実にもとづいている、ということですが、どこまでが史実で、どこまでが作り話なのか・・・ヨーロッパの歴史の知識があまりない私にとっては、なかなか難しい。そこで「フランスワイン文化史全書/ぶどう畑とワインの歴史」という本を開いてみましたが、ワインの歴史を身につけるのは、一朝一夕には無理・・・と諦めました。しかし、そんな歴史的背景を知らなくても、実は楽しめる読み物です。登場人物は、すべてワインにちなんだ名前がつけられています。ロマネ、モンラッシュ、ペペ、エスト・・・。悪役には、フィロキセラといった具合です。なにげない登場人物もすべてワインや酒に関する名前です。
十字軍に参加するロマネは、聖戦という名目とは別に、父親であるブルゴーニュの荘園領主の父親からブドウの樹を持ち帰ってくるという使命をさずけられます。そこでロマネは友人たち2人と一緒に騎士として参加、隠れキリシタンが密かにワインを醸造する、トルコ・カッパドキア「月の谷間」をみつけてブドウの樹を無事に持ち帰るという話です。 その間に恋あり、ワインのもたらす奇跡があり、悪ものとの戦いあり・・といった盛りだくさんの内容の冒険小説。
イスラム教徒に気づかれないよう、ギリシャ人たちの夜明け前の葡萄摘みや地下醸造所のワイン造りを行う場面などは、宗教的な違いを改めて思います。また、スルタン宮での詩の朗読会やトルコ人村の結婚式の様子など、トルコの生活を感じさせてくれる記述も、話を飽きさせずに読み進めさせてくれる要素になっています。著者は、若い頃、イスラエルに遊学し、中東をよく知っているらしく、そのへんが通常、ヨーロッパサイドからしかワインをとらえない私たちには新鮮に感じられます。
このお話のベースは、著者が夕食時に小学生の息子さんに話した聖母マリアのブドウを巡る十字軍騎士の物語を冒険小説に編み上げたもの、と著者略歴に書かれていますが、そのお話の才能には感服します。まるで千夜一夜物語のごとく、お話が次々と沸いてくるのでしょうか。
調香師の手帖 香りの世界をさぐる (朝日文庫)
|
出版社 |
朝日文庫 |
|
出版日 |
2008年12月 |
|
著者 |
中村 祥二 |
|
定価 |
800円(税別) |
ワインを評価する際、その70%は香りにある、といいます。香りはワインを評価する上で知っておかねばならない非常に大切な分野ですが、そんなテーマを中心にした本というのは、あまり見かけません。最近でこそ、香りを科学する、というテーマの本も出てはいますが、いまいち、面白くない(すいません)。今回、ご紹介する本は、化粧品会社の研究室に長年、在籍し、香りの研究・調合などを手がけてきた著者の日常を含め、感じられる本です。
この本の内容は濃いです。自宅にツンドク状態になっていましたが、もっと早く読んでおくべきだった。 単に私の知識が足りないからだけかもしれませんが、香りについて、知らなかったことがたくさんあります。そして身近にある香りの違いに目をむけさせてくれます。例えば、香りの王者と思われるバラも、近年では香りが弱くなっていることや、桜といっても品種によって香りの強いもの、弱いものがあること。「香り桜」と呼ばれる桜があることをはじめてしりました。この本を読むと、花見も見るだけでなく、嗅ぐ、という別の楽しみ方を知ることができます。
ワイン通の嫌な面としてよく取り上げられるウンチクも豊富です。中国には、香妃と呼ばれる美女がおり、体からえもいわれぬ芳香を放っていたというエピソード、そしてその香りを再現すべく、「SASO」という香水が生まれたという話をはじめとした数々の香水にまつわるエピソードなど。
著者は研究者なので、学問的、専門的なアプローチと著者の日常における香りの楽しみ方などもうまくブレンドされていて、文庫本にしては太いですが、結構、飽きずに読めます。この本は1989年に初版がでており、2008年にタイトルを変更して文庫本として復活しています。著者は、「この本を読んで調香師になろう、と思った、という若い人に出会う」と書かれているので、調香の世界では、有名な本のようです。この本を読むと、ワイン好きたるもの、もっと嗅覚を鍛えないといけない、と感じさせてくれますので、ぜひ、皆様もご一読ください。
ワインと外交 (新潮新書)
|
出版社 |
新潮新書 |
|
出版日 |
2007年1月 |
|
著者 |
西川 恵 |
|
定価 |
700円(税別) |
外交の場にワインや食事がどうかかわっているか。なかなか興味深いテーマです。この本の前身といえる『エリゼ宮の食卓』という本はまさに、ヨーロッパの饗宴外交のありかたを解説してくれた名著でしたが、これはその現代版。
前作『エリゼ宮の食卓』では、ワイン・コレクターとしても知られたミッテラン大統領の時代を中心に書かれていたので、ワイン選びひとつをとっても、相手国との関係、相手国トップとの個人的な親密度の違い、政治的な思惑の違い、などにワインが大活躍していたことが実感できましたが、今のサルコジ大統領は下戸、ブッシュ元大統領も禁酒をとおしていましたから、ワインの出番は少なくなっているように感じます。しかし、食事に何を出すか、どういうワインを出すか、などやはりヨーロッパの饗宴外交は続いていると実感させられる面白い本です。
例えば、安倍首相と小泉首相では、どちらが重要視されたか、というのを料理の内容やシチュエーションで解説しているのは面白いですし、中国外交に対してどういうふうに料理を出しているのか、というのも日本人としては興味のあるところ。外交の裏話もちりばめられていて、国際政治に少しでも興味あれば、読んでおいて損はないと思います。
ちなみに、私はこの本を読んでいたので、先日2011年5月にオバマ大統領がイギリスを訪問した時の皇室の歓待ぶりを食の面から実感することができました。最初のスパークリングこそ宣伝も兼ねて、イギリス産のリッジヴュー・スパークリングでしたが、ウィリアム・フェーヴル・シャブリ・レ・クロ2004年、ロマネ・コンティ・エシェゾー1990、ヴーヴ・クリコ2002、最後はロイヤル・オポルト・ヴィンテージ・ポート1963、と異例ともいえるワインが供され、驚きました。ロマネ・コンティのエシェゾーは、どんな国のトップであっても、なかなか出てくるアイテムではありません。イギリスが英米同盟の重要性やオバマ大統領に対する敬意を十分にあらわしている結果でしょう。
エリゼ宮の食卓―その饗宴と美食外交 (新潮文庫)
|
出版社 |
新潮新書 |
|
出版日 |
1996年8月 |
|
著者 |
西川 恵 |
|
中古価格 |
200円ぐらいから |
この本は1996年に書かれた本で、非常に仔細にヨーロッパの皇室や大統領主催の晩餐会などで供される食事やワインが外交にどのようにかかわっているかを解説した名著です。
ワイン・コレクターでもあったミッテラン大統領時代、フランスのワイン支出も増大します。また、ミッテラン大統領の素顔や日本通だった様子など、外交以外の面にも触れられています。さらに、その料理を扱う裏方のシェフやソムリエといった人たちにも話をきき、彼らがどういうふうに膨大な料理をマネージし、そしてワイン選びを行っているかなど、興味深いエピソードなどがつづられていて、今となっては時代背景は少し古いですが、読んでいただきたい本です。
酒道入門
|
出版社 |
角川oneテーマ21 |
|
出版日 |
2008年12月 |
|
著者 |
島田雅彦 |
|
定価 |
705円(税別) |
ワインの本という範疇ではありませんが、広く酒を愛する人に愛読されてもいい本だと思いましたので、ここに紹介します。
著者は小説家である島田雅彦氏。純文学・・・という言葉を聞かなくなって久しい気がしますが、若くしてデビューした彼は、ある時期、『最後の純文学者』、と言われていたように記憶しています。今では純文学というジャンル自体曖昧ですし、そんなこと、気にする人はいなくなったのか・・・。
それはさておき、昔から、純文学者たるもの、大酒をくらい、酒を語り、粋に夜遊びをする、というイメージがありますが、そんなイメージにぴったりなのが島田氏です。結構、見た目もいいので、若い頃はもてたようです。今もかな?
内容は、『酒とどうつきあうか』がテーマ。著者の経験、生活、人生観がそこにちりばめられていて、多少の薀蓄もありつつ、しかし著者がいかに楽しんでお酒を飲んでいるのかがひしひしと伝わってきます。実は読むまでは、あまり期待していなかったのですが、やはり文学者らしく、読ませる文章が飽きさせないので、結局最後まで読んでしまいました。これを読むと、やっぱり酒のない人生なんてつまらないね、と思ってしまいます。
ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン
|
出版社 |
白水社 |
|
翻訳出版日 |
2010年9月 |
|
著者/訳者 |
ポール・トーディ/小竹由美子 |
|
定価 |
2,600円 |
イギリスの作家、ポール・トーディのデビュー2作目となる本で、小説です。ポール・トーディは59歳で処女作「イエメンで鮭釣りを」という本を発表してたちまちベストセラー作家となった遅咲きの小説家です。
真面目に働く天才プログラマーの主人公は、事業に成功し、金持ちとなります。そして、ある日、ふと立ち寄ったワインショップ。そしてワインを愛してやまないオーナーとの交際を始め、ワインの深遠な世界に堕ちていくという内容。彼は結局、アル中になり、破滅するのですが、身につまされる内容です。
2010年8月に翻訳本が出版されていますが、2010年年末の(確か読売新聞)の新聞の書評欄でもどなたかが、『今年の3冊』としてこの本の名前を挙げられていました。その方のコメントでは「主人公は、結局、幸せだったのではないか、と思えるのが味噌」と述べられていましたが、うーん、確かにそうかもしれません。訳者あとがきでは、「(この二作目の結末は)とことん暗く悲惨で救いがない。ところがそんな陰鬱な物語が、実に面白く読めるブラックコメディに仕上がっている。ピリッと辛味の効いたユーモラスなタッチで快活に進行(逆行?)し、最後は晴れやかな希望の光に満ちて終わるのだ」というコメントをしています。
そうなのです。とにかく引き込まれるストーリー展開です。といっても結論が最後で、その理由が徐々に、ワインのヴィンテージとともにあきらかになっていく手法、そのわかっているようでも読ませるテクニックは小説家としての力量が素晴らしい、と感じます。ことさらワインの細部に立ち入ることなく、あくまでもワインの描写は小説の筋を際立たせる脇役ですが、適切で、この作者はかなりワインを飲みこなしてると感じさせます。(イギリス人の見栄でしょうか、こんな高いワインはほとんど飲まないよ、と言っているらしいですが、ワインの表現を見ていれば、それは単なる本からの受け売りではないのはわかります)。
この本は最後まで読んでいただきたいですね。最後(まさに主人公がワインにはまり始める頃ですが、その中で「ワインを愛することの罪深さ」に触れられている部分があります。ワインを愛することは、人生を豊かにするのか、堕落への一歩なのか・・・それは読む人の一人ひとりにかかっています。
「The World Atlas of Wine」
|
出版社 |
Michell Beazley(イギリスの有名出版社です) |
|
出版日 |
2001年9月 |
|
著者 |
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン |
|
定価 |
6859円 (35ポンド) |
イギリスの超有名ワインライターであるヒュー・ジョンソンのライフワークです。この第5版より、やはり超有名ワインライターであるジャンシス・ロビンソンとの共著となりました。ヒュー・ジョンソンも高齢になってきたので、自分の後をジャンシスに託すということなのでしょう。
それはさておき、この本は、次に紹介するジャンシス・ロビンソンの「The Oxford Companion to Wine」と同様、ワイン通となるためには、座右の銘として手元に置いておく必要のあるものでしょう。世界各国のワイン産地のデータが地図とともにわかりやすく、膨大にまとめられており、非常に役に立ちます。あまり知られていないウクライナ、ルーマニアなどのワイン産地の歴史、最近話題のイスラエルとレバノンのワイン造りの現状など、マイナーな産地についてもわかります。日本についての記述は、わずか1ページですが、しかしアジアのワインとして1ページ、日本のワインとして1ページが割かれていることから考えると、それなりに大きな扱いだと言えるでしょう。
原書は苦手、という方には日本語版があります。こちらは「地図で見る世界のワイン」というタイトルになっています。ただ日本語版は、目次を見る限りページ数が全く同じです。ということは完全な翻訳ではなく、内容を省略している部分もあると思われます。監修は、ワイン本の翻訳にかけては右に出る方はいないと思われる山本博先生ですから、内容的には問題ないと思いますが、金額的にも倍ほどの値段になることを考えると、できれば原書を買われることをお薦めします。
「The Oxford Companion to Wine 2nd Edition」
|
出版社 |
Oxford University Press |
|
出版日 |
1999年12月 |
|
著者 |
ジャンシス・ロビンソン |
|
価格 |
14,868円 |
ワインの辞書という位置づけの本です。こちらはジャンシス・ロビンソンのライフワーク。彼女の知識の深さをうかがわせる本です。「これを作るにはかなりの時間と労力が要した」、と発言しているのをどこかで読んだことがあります。
厚さはなんと6.5センチ。本を開くだけで「よっこらしょ」という感じですが、中身は濃いです。単なる単語の解説にとどまらず、歴史や言葉の由来、政治的な背景、最近の流行までも場合によっては説明している、それだけで読み物ともなる辞書です。
例えば、"Oak"の意味を引いてみると、「ワインの貯蔵、熟成に使われる樽の木の種類である」というところから始まり、オークの種類の違い、それによる味わいの違い、各地の生産量の表、「アメリカン・オーク」の定義や歴史、「ヨーロッパのオーク」の産地の詳細、「樽で熟成させることの意義」さらには「ブランデーでのオークの使用」、「オーク・チップの問題」など、小さい文字にもかかわらず、4ページも割かれています。
また、例えば、「エノテカ」という単語に興味を持ったとします(日本でもワインショップの名前として使われています)。これについては、「イタリアで、比較的高級なワインを扱うワインショップのこと。カジュアルなワインを扱う"bottiglieria"や酒屋兼飲み屋を兼ねる"vinaio"と対比される言葉」と説明されています。そして「多くのエノテカでは、テースティングもできるようになっており、またおつまみもでる場合がある。おつまみ程度から本格的な料理までその店によって異なる。特定の地域のワインを扱うエノテカは、DOCシステムができたころから出てきており、古代ギリシャ語でイタリアを意味する"Oenotria"と"Library"を意味する"theke"から来ている」。ワインに関してわからないことはない、という感じです。
この一冊は、ワイン通のインテリア・アイテムとしても映えます。しかし嵩張るのも事実。実は、ジャンシス・ロビンソンのホームページで会費(1年間69ポンド、約6000円)を払って会員登録すれば、オンラインで検索ができるますよ(ジャンシスのホームページ開設1年間は無料だったのですが・・)。高いですね。残念ながらこの本の日本語版はありません。あまりに膨大であるため、彼女の代表作といえども翻訳はされないようです。
「ほんとうのワインー自然なワイン造り再発見」
|
出版社 |
白水社 |
|
出版日 |
2004年6月 |
|
著者 |
パトリック・マシューズ |
|
訳者 |
立花 峰夫 |
|
定価 |
2,600円 |
ワイン生産者や、業界専従者のみならず、ワインをもっと深く知りたい、本質を知りたいと考えている消費者にとっても重要な一冊です。
プロ・アマ問わず、ワインのことを知っていると思っている人々にとって、この本の深さに出会うとショッキングでさえあります。いかに表層しか知らなかったかと思わせるはず。 訳者あとがきに「『ほんとうのワイン』は奇妙な本である。歴史あるイギリスのワインジャーナリズムの系譜に連なる一冊ではあるものの、 先行するどの書物にも似ていない。ワインブックの基本属性がジャンルを問わず、「退屈」となってしまった今日において、 『ほんとうのワイン』ほどに読ませる作品はなかなか例がない」と書かれています。
確かに、その通りだと思います。アメリカ人たちの偉大なワイン造りに対する情熱や挑戦を紹介しながらも、 視点は「自然なワイン造り」という永久不滅なテーマに据えられているからです。
本書の構成もわかりやすいものとなっています。「ワインを造る」という立場から、 「場所を探す、ブドウの樹を植える、ブドウの樹を調達する、ブドウを育てる、ワインを熟成させる、ワインの欠陥に対処する」 という流れに沿って書かれている。この辺の構成などは、拙訳「ロマネ・コンティに挑む〜カレラ・ワイナリーの物語」にも似ています。 それを、よりグローバルかつ知的にしているといった趣の本です。
DVD「サイドウェイ」
|
監督 |
アレクサンダー・ペイン |
|
発売日 |
2006年1月 |
|
原作 |
レックス・ピケット |
|
出演 |
ポール・ジアマッティ、ヴァージニア・マドセン |
|
定価 |
896円 |
数あるワインテーマものの映画の中で出色。ワイン好きなら抑えておきたい映画です。
ストーリーは、中年にさしかかったうだつのあがらない平凡な国語教師(でも自分の小説を出版したいという野心を抱いている)が、結婚を控えた親友と一緒に旅に出る。ワイン好きの彼が選んだ旅先は、「貧乏人のナパ」というサンタ・バーバラ地区。理由はそれだけではなく、なにより、彼はピノ・ノワール好きなのだ。そのピノ・ノワール贔屓、およびメルロー嫌悪のセリフのせいで、アメリカのワイン売り上げは一挙にピノ・ノワールに傾いたといういわくつきの映画。当初は、あまりヒットしないと思われていましたが、封切られてみると、地味だがその素朴な味わいでロングランを続け、アカデミー賞脚本賞をゲットしたのです。
「カリフォルニアワイン物語 ナパ〜モンダヴィからコッポラまで〜」
|
出版社 |
JTB出版 |
|
出版日 |
2001年10月 |
|
著者 |
ジェームズ・コナウェイ |
|
訳者 |
松元寛樹/作田直子 |
|
定価 |
1,785円 |
著者は、ワシントン・ポストの記者兼コラムニストとして活躍し、ナショナル・ジオグラフィックをはじめとする雑誌に数多く執筆するジャーナリスト。 この本は、多くの資料と緻密なインタビューによって、登場人物が非常に生き生きと描かれています。
原書のタイトルは「NAPA The Story of the American Eden」で、出版から10年以上たってもロングセラーを続けており、 ナパのワイン関係者ならおそらく、みな、読んだことがあると思われるほど有名です。
ちなみに、2002年に続編ともいえる「The Far Side of EDEN」が出版されました(日本語版はありません)。 こちらも前作同様に、登場人物がかなり精緻に描かれていますが、ワインバブルを背景に、ナパに押し寄せた人たちの豪奢なライフスタイルや価値観、 ブドウ畑開発の環境破壊などに対して批判的な色彩が強く、ワイン業界の人間にはとても受けが悪かった問題作です。著者はナパで講演を行う予定をもっていましたが、 会場のボイコットにあったりし、キャンセルが続出しました。
「ロマネ・コンティに挑む〜カレラ・ワイナリーの物語」
|
出版社 |
TBSブリタニカ |
|
出版日 |
2000年4月 |
|
著者 |
マルク・ド・ヴィリエ |
|
訳者 |
松元寛樹/作田直子 |
|
定価 |
2,100円 |
カレラ・ジェンセンという一本のワインに感動した著者が、ワインが出来るまでの軌跡をたどることで、カレラ・ワイナリーの歴史、 ワイナリーのオーナーであるジョシュ・ジェンセンのワイン造り、ワインビジネスにかける思いを読者とともに体験するという形式をとっています。
初心者である著者の素朴な質問に対して丁寧に応えられ、初心者にもわかりやすい内容になっているとともに、 ワイン造りのかなり細かな点にまで踏み込んでいるので、中級者にとっても興味のあるものとなっています。どちらかというとフランスびいきのオーナーが、 アメリカ的やりかたに批判的で、アメリカ式ワイン造りの問題点なども提起されているところがアメリカ事情を知る上で有効でしょう。


